○2004年01月29日(木)
No.128
監督 : 今井正
製作 : 永田雅一
原作 : 有吉佐和子
脚色 : 井手俊郎
配役:
田宮二郎 (浅井義雄)
岡田茉莉子 (浅井道子)
若尾文子 (米倉マチ子)
加賀まりこ(マユミ)
三島雅夫 (小柳幾造)
有吉佐和子が日経新聞に67年1年間連載した小説を映画化した。ただし小説の終わり方と映画の終わり方はやや違うようだ。
当時話題の人工授精をテーマにしている。
(有吉佐和子は立派なトレンド作家だった)
田宮ファンの私も岡田茉莉子と若尾文子の顔合わせが興味深かった。
(なお、米倉涼子主演で2006年ドラマ化されている)
☆ネタバレ注意☆
浅井は宣伝部長。取引先社長小柳は最近羽振りが良い。
二人は食事に出かけると、そこに小柳の情婦マユミがいた。
彼女は妊娠しているが生む気がないらしいが小柳は何としても産ませたい。
結局浅井はふたりの仲裁をすることになる。
浅井は銀座のマチ子とつきあっていたが突然、マチ子が妊娠したと言い出す。
浅井と妻の間には結婚して10年間子どもが出来なかった。
マチ子は生まれ故郷で子どもを生み、浅井はマチ子の枕許へ駆けつけ子どもを感激して抱いた。
東京へ帰ってきた浅井に、妻道子は驚くべきことを言った。
「赤ちゃんができたの、4ヶ月よ」
はじめは何のことかわからなかったが、次第に喜びが沸いてきた。
子どもは男の子で、とても父親に懐いている。
ところが、浅井が入院し道子とマチ子が病院で鉢合わせしてしまう。
自宅に戻ってから浅井は妻に平謝りだが、妻は変なことを言う。
「マチ子の娘はあなたの子ではない」。
問い質すと「あなたは先天性無精子症だから、私も人工授精したの。」
浅井は驚いた、回りの女に騙されていたのは俺だったのか。
マチ子に「君には僕の子を産めるわけがない」と言うと、逆上して二人の関係を示唆する怪文書を会社に送る。
マチ子は会長のお気に入りだったから、話はすぐ会社中に知れ渡った。
浅井は久しぶりに小柳に連絡した。
しかし小柳も子どもをマユミに押しつけられ、妻には逃げられそれどころではなかった。
嘆息していたら、昔わけありだった人妻とばったり再会した。
子連れだったが、「実はあなたの子よ」と打ち明ける。
浅井は自然と微笑みがこぼれてくるのであった。
最後の浅井の笑顔の意味をどう取るかで、映画の意味も変わってくる。
やっぱり誤診だった、俺だって子どもぐらい作れるんだという笑いか、
それともどいつもこいつもウソをついてやがると言う笑いだろうか。
まあ再検査をお勧めします(笑)
のっけから加賀まりこの手ぶらヌードだったから、期待がふくらんでしまったが、結末はブラックユーモアだった。
男は何を信じて良いのやら。
今井正としては次作「橋のない川」にお金を掛けるためにやむを得ずした仕事だが、さすがに巨匠だ。
面白い映画だった。