有馬頼義の原作を井手雅人と瀬川昌治の二人が脚色して、杉江敏男が演出した傑作。
警視庁のデカ小泉博は淡路恵子と不倫旅行でスキーバスにのり草津へ向かう。
そこへ三人も射殺した強盗がバスに乗っていると、浦和署から密かに連絡が入る。
バスガイドの扇千景にだけ打ち明けて客の荷物を探ってもらうが、客の森川信・塩沢ときは荷を勝手に覗いたとカンカンである。
「刑事が乗っている。」と大声で言いふらす多々良純や、重そうな鞄を抱える千秋実、早く車を出せとうるさく言う矢野宣、電話ボックスで小泉を見ていた中谷一郎、アベックでいちゃついている佐藤允など怪しい人物は何人かいる。
そもそも犯人はこのバスに乗っているのだろうか?
他に佐々木孝丸、志村喬、堺左千夫、若山セツ子、天津敏、一ノ宮あつ子出演。
クレジットとあらすじ
日本映画チャンネルでやたらと何度も放送される。
それだけ名作だと言うことだ。
前半の誰が犯人かわからないあたりもよかったが、
後半、犯人にばれないように、刑事のところまで伝言ゲームのように銃を回すシーンは、はらはらどきどきだった。
小泉博は元NHKのアナウンサーで映画界入りした。
名番組クイズグランプリの司会者でもあった。
この映画では愛人の前では優柔不断な男だが、刑事魂に火がつくと、誰にも止められなくなる役を好演している。
犯人と格闘し倒したあと、草津で妻若山セツ子が迎えに来てくれると、それまで肩を抱いていた淡路恵子には何も言わずあっさり別れてしまう。
でも淡路恵子とはまた寄りが戻ると思うな。
扇千景は客に虐められて泣いてばかりいるバスガイドだった。
目がくりっと大きくて、当時のあこがれの制服に身を包み、ほんとうに可愛らしい!
映画界入って三年ほど立ち、ようやく右も左もわかってきた頃だ。
撮影では案外ズケズケ言ってたんじゃないかな?
もう二年ほど働いて寿引退した。
しかしその後もテレビを中心に活躍を続け、昭和52年参議院初当選、2004年参議院議長に就任。
世渡りのうまい人だ。
当時はバンプ淡路恵子全盛で、良妻賢母型の若山セツ子じゃ敵わなかったようだ。
「野良犬」から数年で淡路も出世したものだ。
それと比べ若山は「青い山脈」以後、妹役が多く、そのうち主婦役が増えてきた。
前年、谷口千吉監督と離婚が成立し、元気がなかったようだ。
さらに佐藤允が若く、いい顔をしていた。
ビデオは出ていない。しかし文庫本が出ている。
三十六人の乗客光文社文庫
永遠のセルマ・リッター
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