江戸川乱歩の怪奇推理小説を原作としているので映画を「
1955年は大蔵貢が新東宝に乗り込んだ年で、
「山の手歓楽街深夜の探訪」
というルポを依頼された小林章三というカストリ作家は夜、一寸法師が人間の片腕を渋谷の養源寺に持ち込むのを偶然見 かける。翌日片足が川で発見された事件が大々的に報道された。 小林はこの事件に興味を持ち本格的に取材し始める。 養源寺を訪れるが、住職は関係ないといって取りつく島もない。 近くに石膏屋があるが誰もいない。 タバコ屋で聞き込みをしていると、突然声を掛けるものがあった。
昔の恋人で社長山野氏の後添えである百合枝だった。 彼女は義理の娘が家出をしてしまって探偵を紹介してほしいと言う 。そこで小林は知り合いの旗龍作を紹介する。 旗と一緒に山野家のお屋敷へ向うと、 娘の三千子は密室から外出用の服を身に付けていなくなったことが わかる。旗がグランドピアノを弾いてみるとおかしな音がする。 フタを開けると三千子の髪の毛とヘアピンが出てきた。一旦、 ピアノの中に三千子は隠されていたのだ。 昨夜から今朝にかけて出入りした者はいないかと聞くと、 女中がごみ収集業者が来て、 いつもより大きなゴミを抱えていったと言う。 そのころ都内で開かれているファッションショーでマネキン人形か
ら片腕が発見される。 ショーからは怪しい小人が逃げていくところが目撃された。 再び旗は山野家を訪問してもう一度三千子の化粧品に付いている指
紋を確かめる。 やはりファッションショーの片腕の指紋と一致した。被害者は三千子だったのか。 その夜、奇妙な事件が起きる。
百合枝が外出するが女中お雪が跡を付けている。 すると謎の男と出会いタクシーに乗り込む。 小林がたまたま通りかかった所にタクシーが止まった。 二人は上原の仕舞家(しもたや)に入るが、 やがて女の悲鳴が聞こえた。小林が上がり込むと、 男は消えていて百合枝は何があったか答えようとしない。その様子をじっとうかがっているものがいた。 一方、
お屋敷ではお手伝いの小松という娘が百合江がいなくなったのを確 かめて百合枝の部屋に忍び込み、 それを北島という男が覗いていた。 翌日、小林が旗を訪ねると彼は何もかも知っていた。
百合枝の行動はスパイのお雪が逐一知らせていたのだ。お雪から電話を受けた後は、助手平田を派遣して仕舞屋を張り込ませた。百合枝の部屋から三千子が家出した時に身に付けていたものと凶器 と思しき血痕の付着した石膏も出て来た。小林にはこれらの証拠が百合枝が犯人であることを示しているとしか思えない。しかし他にも小松がお屋敷から逃げ出したこと、 三千子を恨んでいた北島が事件直前に出所したこと、 当日休んでいた運転手の蕗屋が小松と連れ立って車で移動している ことが判明していて、容疑者を絞る段階ではない。 探偵助手平田の懸命の働きにより、養源寺、仕舞家、
石膏店が裏では繋がっていることがわかった。そんな時、 百合枝が再び怪人に仕舞家へ呼び出される。 小林と旗は警察とともに養源寺から防空壕を通り仕舞家へ突入する。 何と怪人は和尚でありその正体は一寸法師だった。 素早く逃げる一寸法師と警察の大群の大立ち回りが始まった。 小林は百合枝を救い出したが、 百合枝は犯人が夫であると告白する。 しかし屋敷に戻ると山野は脳溢血で亡くなっていた。 再び石膏店に呼び戻された百合枝と小林は、 旗から改めて事件の真相を知らされる。
まさに夢の世界と言える京極夏彦の世界(百鬼夜行シリーズ)
一寸法師は興味本位に取り上げられたわけではなかった。
ストーリーはよく考えられていて、ちゃんと謎解きパズルになっている。結末は二転三転してしまうが、
監督 内川清一郎
原作 江戸川乱歩
脚色 館岡謙之助
撮影 岩佐一泉
配役
小林章三 宇津井健
旗龍作 二本柳寛
山野大五郎 三島雅夫
後妻百合枝 三浦光子
女中小松 安西郷子
女中お雪 野上千鶴子
運転手蕗屋 国方伝
書生山木 鮎川浩
助手平田 天知茂
水島春雄 丹波哲郎
田村検事 細川俊夫
養源寺和尚 和久井勉
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ところで天知茂が探偵の助手平田役で出演している。書生風の詰め入りを着ていて出番は多かった