「パルプ・フィクション」のクエンティン・タランティーノ監督による作品。
1969年に起きたシャロン・テート事件を元にして、ハリウッドで落ち目の俳優とそのスタントマンが映画界で生き残ろうともがく姿を描いている。
主演は初共演のレオナルド・ディカプリオブラッド・ピット。共演はマーゴット・ロビー、アル・パチーノ、カート・ラッセル
ブラッド・ピットがアカデミー助演男優賞、バーバラ・リング、ナンシー・ヘイグがアカデミー美術賞を受賞した。

あらすじ

テレビドラマの元主役俳優のリック・ダルトンは映画に進出したが、今や悪役ばかりになっていた。スタントマンで親友であるクリフ・ブースは、朝鮮戦争の英雄だったが今では免許停止になったリックの代わりに運転手となっていた。
ある日リックの自宅の隣に「ローズマリーの赤ちゃん」で飛ぶ鳥を落とす映画監督ロマン・ポランスキーと妻の女優シャロン・テートが引っ越してきた。

リックはキャスティング担当者のシュワルツに呼び出され、マカロニ・ウェスタンの悪役をやって見ないかと誘う。まだマカロニ・ウェスタンがアメリカで人気になっていなかったので、リックは都落ちをするような気がして、クリフ相手に泣くのだった。

翌日、撮影現場へリックを届けたクリフは、スタントの仕事も頼んで欲しいと頼む。リックは気乗りせず、昨晩壊れた自宅のテレビのアンテナを修理して欲しいと頼みます。以前ブルース・リーに絡まれたクリフがリーを投げ飛ばし、駐車していた車をへこましたことがあったのだ。
クリフはリックの屋根の上に登って、屋根の上からチャールズ・マンソンがポランスキー邸に行くのを目撃します。
応対に出た、同居人のジェイ・セブリングにチャーリーは、テリーを探していると尋ねる。テリーは前の住人ですでに引っ越していた。
西部劇の悪役で起用されたリックは、8才の共演者(少女)に出会い、俳優としての当然の心構えを説かれる。初心を忘れていたことに気付き、思わず涙ぐむリックをその共演者は慰める。
シャロンはブルーイン・シアターで「サイレンサー・破壊作戦」を上映しているのを見掛け、帰りに映画館へ立ち寄る。
リックは深酒がたたりせっかく覚えたセリフを忘れてしまい、自己嫌悪に陥りトレーラーで荒れる。
しかしリックは思い直してセリフを入れ直し、次の場面を一発取りして、8才の共演者から褒められ、リックはまた涙ぐむ。

クリフは運転中にヒッピー女性がチャッツワースに在るスパーン・ランチ映画牧場(映画セット用の牧場)に住んでいると言うので、乗せてあげる。
スパーン・ランチに到着すると、クリフは牧場所有者であるジョージと知り合いだから、挨拶をしたいと言う。
視力を失い生きる気力をなくしていたジョージを見舞ってから、外へ出て来たクリフは乗ってきたクリフのキャデラックがパンクしているのを発見する。近くでヘラヘラ笑っていたチャーリーをクリフは殴ってタイヤを交換させる。

クリフはリックを撮影現場に迎えに行きリックの家に戻李、2人でリックがゲスト出演するテレビドラマ「FBI」を見る。
クリフはヒッピー女性から50セントで買ったLSDをリックのシガレットケースに入れ、間違って吸わないようにリックに注意する。その頃、シュワルツも「FBI」を見ていて、リックを配役することに決意する。

半年後、セルジオ・コルブッチのイタリア映画に出演したリックはある程度の収入を得て、イタリアで知り合った新妻を連れてクリフとアメリカへ帰国する。帰国前にビバリーヒルズの自宅を売却してマンションでも借りて生活がやり直すので、クリフを雇い続けられないと打ち明けていた。
ロマン・ポランスキー監督はロンドンへ滞在中で、その間ヴォイテック・フライコフスキーやフォルジャーズ・コーヒー創業者のひ孫であるアビゲイル・フォルジャー等友人が妊娠8ヶ月のシャロンの家に滞在していた。
問題の1969年8月9日。シャロン達はメキシカンレストラン「エル・コヨーテ」で夕食を取った後帰宅します。同じ頃、帰国したばかりのリックとクリフも外食をして帰る。
自分が隠したLSDを半年ぶりに発見したクリフは一発決める。
リック邸の前にヒッピー達が乗った車が停車した。シャロン邸を襲う計画を立てていた。リックは、ヒッピーは出て行けと怒鳴りつける。
チャーリーからテリーが住んでいた家へ行き全員殺害するよう命じられたマンソン・ファミリーのテックスは目的をリックに変更する。
ヒッピーたちはリックの家に侵入し、クリフに拳銃を向ける。しかしLSDでハイになっているクリフは笑い出す。クリフの合図でランディがテックスに飛び掛かり、手に向かって来たセイディの顔面に、クリフが缶詰の豪速球を投げ込む。しかしケイティがクリフの腰にナイフを突き刺す。クリフは、彼女の髪を掴み容赦なく壁に頭をぶつける。セイディは半狂乱になって外のプールの中へ落下する。
プールでラジオを聴いていたリックは初めて事態に気がつく。セイディはプールで叫びながら宙に乱射する。リックは小道具で使った火炎放射器でセイディを焼き殺す。
警察がやってきて、出血多量で気を失っていたクリフは救急車で搬送される。
そこへ、ジェイ・セブリングが隣から話し掛ける。そこへシャロンがインターフォンを通し、リックに大丈夫かと尋ねる。そして、シャロンはお酒でくつろぐよう自宅へ招待する。

雑感

初期のマカロニ・ウェスタンは確かに蔑視されていた。主人公のモデルはバート・レイノルズ。クリント・イーストウッドと同時期にイタリアへ行って小遣い稼ぎをしたそうだ。一方まだ若手テレビ俳優だったイーストウッドは「ローハイド」の出演中にセルジオ・レオーネ監督に呼ばれて出演したそうだ。
シャロン・テート事件では最初に通りがかったスティーブン・ペアレントが殺され、それから屋敷に侵入してテート、セブリング、フリコフスキとフォルジャーのカップルが惨殺された。
最初のペアレントがもっと強い相手だったらどうなっていたかという、IF映画にもなっている。

製作総指揮に中国系の人たちが目立つようになったが、昔の香港と違い今の中国が絡むとハリウッド映画は面白くなくなるというもっぱらの噂だ。
シャロン・テート事件だからあの凄惨な殺害現場を再現するのかと思ったら、全く逆の結末を描いていた。気分はスッとするが、超豪華メンバーを並べて、長時間見せておいて、「もしも」の結末かとがっかりした。シャロン・テートの実妹はこの映画を支持しているそうだ。

ただ1969年の雰囲気はうまく再現していた。カーラジオの音質がやたら良かった。当時のハリウッドはああだったのだろうか。

この映画の主人公とクリフ以外の役柄は基本的に実名である。中にはまだ存命の人もいるのではないか。

スタッフ

監督・脚本 クエンティン・タランティーノ
製作 デイヴィッド・ヘイマン 、 シャノン・マッキントッシュ 、 クエンティン・タランティーノ
製作総指揮 ジョージア・カカンデス 、 ジェフリー・チャン 、 ユー・ドン
撮影 ロバート・リチャードソン

キャスト

俳優リック・ダルトン    レオナルド・ディカプリオ
クリフ・ブース(スタントマン)   ブラッド・ピット
マーヴィン・シュワルツ(キャスティング)  アル・パチーノ
女優シャロン・テート  マーゴット・ロビー
牧場主ジョージ・スパーン    ブルース・ダーン
ジェイ・セブリング(ヘアメイク)   エミール・ハーシュ
ランディ      カート・ラッセル
ハケット保安官   マイケル・マドセン
スティーブ・マックィーン  ダミアン・ルイス
スクィーキー・フロム    ダコタ・ファニング
実行犯テックス      オースティン・バトラー
サム・ワナメイカー     ニコラス・ハモンド
ウェイン・マウンダー    ルーク・ペリー
エルネスト       クリフトン・コリンズ・Jr.
ランド・パイレート・キース   キース・ジェファーソン
プッシーキャット    マーガレット・クアリー
ジェイムズ・ステイシー    ティモシー・オリファント
ジャネット     ゾーイ・ベル
ブルース・リー    マイク・モー

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド Once Upon a Time in Hollywood 2019 ヘイディ・フィルム製作 ソニー・コロンビア配給

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