オープニングの掛け声は「ハイヨー、シルバー!」
オリジナルのラジオドラマは1933年から開始された。
そしてテレビ放送が始まったのが1949年だそうだ。我々は1966年からそのドラマを日本でも見られるようになったが、その17年前からアメリカの良い子のみんなは見ていたわけだ。
でも日本でも1953年にテレビ放送が始まって3年後の1956年に歌舞伎役者第十代市川高麗蔵主演の「鞍馬天狗」がテレビで放送されたので、マスクマンがテレビ放送初期の人気演目だった点では変わりない。「鞍馬天狗」は1924年に大佛次郎の原作小説の連載が開始するが、同じ年に映画で脇役ながら実川延松が鞍馬天狗を早くも演じている。
あらすじ
第一話「ローン・レンジャーの誕生」
ローン・レンジャーはならず者から街を守るテキサス・レンジャーズの一員で、兄が隊長を勤めていた。ある日、ならず者キャベンディッシュの仲間に騙されて待ち伏せされ、皆殺しにされそうになる。ただ一人生き残ったのが、ローン・レンジャーだった。彼はネイティブ・アメリカンのトントに助けられて、キャベンディッシュ一味に復讐を誓う。まずは兄を騙した男と戦う。
第二話「追跡キャベンディッシュ一味」
兄を騙し討ちにした男を倒したが、キャベンディッシュ一味は大勢であり、手駒が足りない。白馬を見つけたローン・レンジャーは生け捕りにして、乗りこなす。
次にコルビーの保安官を呼び出して、ローン・レンジャーは理解を得る。負傷したキャベンディッシュが仲間と離れて医師に治療してもらっているところをローン・レンジャーは急襲してキャベンディッシュを逮捕する。
第三話「大団円」
しかしローン・レンジャーとトントが目を離した隙に、キャベンディッシュの仲間が戻って来て、逆に保安官と医師が敵に捕まる。ローン・レンジャーはトントに応援を街から呼んでくるように頼むが、保安官補佐はキャベンディッシュの息がかかったものだった。ローン・レンジャーは再びキャベンディッシュが一人になる時を待って、彼を再逮捕し保安官と医師を解放する。
そこでローン・レンジャーは騎兵隊に応援を求めると言って、キャベンディッシュを一人にしてしまう。キャベンディッシュは仲間によって解放され、奇兵隊を探しに行くが、それがローン・レンジャーの思う壺だった。ローン・レンジャーと保安官たちはまっすぐコルビーに戻り、街中に潜入していたキャベンディッシュの仲間の掃討作戦を終えて、有志を募りキャベンディッシュを捕まえに行く。最後はローン・レンジャーとキャベンディッシュの一騎打ちとなるが、ついに逮捕する。ローン・レンジャーは「行くぞスカウト、ハイヨーシルバー!」の掛け声を残し、どこへともなく消えてしまった。
雑感
テレビ第1期の第一話から第三話までは続きもので、テキサス・レンジャーズ隊長の兄の死からキャベンディシュを逮捕して監獄に打ち込むところまで。
ローン・レンジャーの誕生秘話であり、トント、愛馬シルバーと言ったレギュラー陣の紹介も兼ねている。
今回いささかローン・レンジャーは逮捕するのに手間取ったが、初逮捕だったから仕方がない。
1966年以降、我々はドラマが古臭いと思い見ていたが、当時人気があった「ララミー牧場」(1960−63;主演ロバート・フラーが来日した時、池田首相と面談した)「ローハイド」(1959−65)とは本放送の時期が10年ずれていたのだ。
しかし古臭いことが悪いわけではない。完全な勧善懲悪劇になっていて子供にも分かり易かった。
アメリカでテレビドラマ版がキャストそのままに1956年と1958年に映画化されている。さらに1981年と2013年(トント役はジョニー・デップ)にも映画化された。
スタッフ
製作 ジャック・チャートック
監督 ジョージ・B・サイツ・JR
原案 ジョージ・W・トレンドル、フランク・ストライカー(ラジオ脚本)
主題歌 ウィリアム・テル序曲(ロッシーニ作曲)
キャスト
ローン・レンジャー:クレイトン・ムーア
トント:ジェイ・シルヴァーヒールス (本物のモホーク族)
キャベンディシュ:グレン・ストレンジ
保安官:ウォルター・サンド