ジャコモ・プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を現代風に翻案し、ミュージカル化した作品を映画化した。舞台はトニー賞に輝く。
1990年代のNYを舞台に繰り広げられる、芸術家の卵の青年たちの物語を描く。
監督はクリス・コロンバス
ヒロイン・ミミにはロザリオ・ドーソン
撮影に当たってはスーパー35mmフィルムを使っている。

あらすじ

1989年のクリスマス・イヴ、映画監督を目指すマークと作曲家志望のロジャーは、金持ちに入り婿して大家となった友人ベニーから延滞家賃を支払うよう要求される。ベニーは近隣からホームレスを立ち退かせて芸術家が自由に創作できるサイバー・スタジオを建てるつもりだと語り、マークの元彼女のモーリーンの抗議活動をやめさせれば家賃を無料にすると言うが、マークとロジャーは拒否する。

ドラーグクイーンのエンジェルは、元大学講師で強盗に襲われてケガをしていたトム・コリンズを見つける。お互いがエイズであることを知ると親しくなる。同じくエイズに罹っているロジャーは作曲を試みている。階下に住むストリッパーでヘロイン中毒者のミミがロジャーのもとに灯をもらいに来る。

クリスマスに、トムとエンジェルが仲良くマークとロジャーのもとを訪れ、彼らにエイズ支援団体「ライフサポート」への参加を勧める。しかしエイズに罹ったことで心に大きな傷を負ったロジャーは参加を断る。マークは、モーリーンに助けを求められマイクの調整をしてあげる。その際、モーリーンの新しい相手ジョアンヌ(女性)と出会い、モーリーンの浮気癖で意気投合する。さらにマークはライフサポートに参加し、エイズと戦う人々についてのドキュメンタリーを撮影させてもらう。

ミミは再びロジャーのもとを訪れるが、ロジャーは、ヘロインを止められないミミを追い出す。翌日、ロジャーはようやくマーク、トム、エンジェルとライフサポートに参加する。終わってからロジャーとマークはモーリーンの抗議ライブの準備に行き、エンジェルとトムは互いの愛情を確かめ合う。
抗議ライブでモーリーンは、結婚して守銭奴となったベニーを非難する。ホームレスたちが暴れ出し、警官隊との間で衝突が起きる。その後モーリーンたちとカフェに移動する。マークがモーリーンのライブを撮影したビデオが地元テレビに売れたので、エンジェルがお祝いをする。そこでロジャーとミミは互いにエイズであることを明かし、恋に落ちる。

1990年の元日、ベニーはアパートを閉鎖するが、エンジェルが鍵を壊して開ける。ジョアンヌは居住権を主張するためにマークがニュース番組バズラインの仕事をするべきだと主張し、マークもテレビ局撮影スタッフに加わる。
モーリーンはジョアンヌにプロポーズするが、婚約パーティでまた喧嘩になってしまう。かつて付き合っていたミミに説得されたベニーは、マークらにアパートの部屋を返す。しかしいつまでもヘロインを止めないミミを信用できないロジャーは。別れを告げる。そんな間にもエンジェルの体調がみるみる悪化し、ついに亡くなる。エンジェルの葬式で皆んなは口論となり、それぞれ別々の道を歩み出す・・・。

雑感

エイズに悩み苦しむ人たちが、今日を生きようと切那主義を謳歌する群像劇である。
ジャコモ・プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」と重なる部分は、ミミがロジャーに灯をもらうシーン、カフェでみんなが馬鹿騒ぎしてベニーを追い出すシーン、ミミがモーリーン、ジョアンナに見つけられてロジャーの部屋に戻ってくるシーンだ。それぞれに良いシーンだ。
他の同性愛二組(トムとエンジェル、モーリーンとジョアンナ)のくっついたり離れたりまで含められると、食べ過ぎになって胃が重くなる。

トム・ハンクス主演エイズ映画「フィラデルフィア」が感動的な映画だった。あの時代と比較すると、エイズは不治の病ではなくなったようだ。だからハッピーエンドのミュージカルにできるのだろう。
でも若者の無軌道な行動から感染拡大している新型コロナウィルスは医療崩壊を起こし、自宅待機者の容体が急変して亡くなる時代だ。
かつてのエイズ時代の反省がこの映画だとすれば、今度の事態にはどんな反省映画を用意してくれるだろうか。アメリカ人は選挙活動に明け暮れていたのだから。

歌で見込みがあったのは、劇中で生尻を披露したイディナ・メンゼルだけだった。さすが7年後には、「アナと雪の女王」でエルサ役の声を演じて「レット・イット・ゴー」で歌曲賞を受賞するだけのことはある。
配役はブロードウェイ・オリジナル・キャストとほとんど変わっていない。ミミ役とジョアンナ役は交代した。

スタッフ

監督、製作 クリス・コロンバス
製作 ジェーン・ローゼンタール、ロバート・デ・ニーロ、マーク・ラドクリフ、マイケル・バーナサン
台本、作詞、作曲 ジョナサン・ラーソン
脚本 スティーヴン・チョボスキー
製作総指揮 ジェフリー・セラー、ケヴィン・マコラム、アラン・S・ゴードン、ラタ・ライアン
撮影監督 スティーブン・ゴールドブラット

キャスト

映画監督マーク アンソニー・ラップ
作曲家ロジャー  アダム・パスカル
ミミ ロザリオ・ドーソン
大家ベニー テイ・ディグス
ドラーグクイーンのエンジェル ウィルソン・ジャメイン・ヘレディア
元教授トム・コリンズ  ジェシー・L・マーティン
モーリーン  イディナ・メンゼル
弁護士ジョアンヌ トレイシー・トムス

ネタばれ

ロジャーは、一度サンタフェに移住する。しかしミミが忘れられず戻ってくる。しかしミミは消えていた。マークはニュース番組を辞め、映画を撮ることに専念する。
またクリスマス・イヴに、マークとロジャーはトムと再会する。ジョアンヌとモーリーンが失踪していたミミを路上で瀕死の状態で見つける。ロジャーはミミに自作の歌を歌う。するとミミは、急速に回復する。マークのドキュメンタリーが公開され、皆は「今日という日は二度と来ない」と実感する。

 

 

レント Rent 2005 レヴォリューション・スタジオ製作 ソニー・コロンビア配給 ブエナビスタ国内配給(2006)

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