(★)傑作短編SF映画。
第三次世界大戦が起きて廃墟となったパリを舞台に、記憶に取り憑かれた男をめぐる、モノクロ写真の連続(フォトロマン、写真小説)で描かれる短編映画。
監督・脚本・撮影はアラン・レネ、ジャック・ドゥミ、アニエス・ヴァルダらヌーベルバーグ左岸派の代表的映画作家クリス・マルケル。製作はアナトール・ドーマン。
写真はジャン・シアポー。
ナレーションはジャン・ネグロニ。主演はエレーヌ・シャトランとダヴォス・ハニッヒ。
雑感
独特な退廃した雰囲気が素敵なディストピア映画。
SF映画だが、SF的な美術は見られず、夢の中の写真から伝わってくるのは1960年代の様子だけである。
核戦争で破壊されたパリが東側である東ドイツに占領された世界のようだ。
1995年のテリー・ギリアム監督作品「12モンキーズ」のオリジナルである。
キャスト
女 – エレーヌ・シャトラン
男 – ダヴォス・ハニッヒ
実験者 – ジャック・ルドゥー
ナレーター – ジャン・ネグローニ(日本語吹替版では大塚明夫)
スタッフ
監督・脚本・撮影クリス・マルケル
製作 アナトール・ドーマン
音楽 トレヴァー・ダンカン
撮影 クリス・マルケル
撮影 ジャン・チアボー
ストーリー
第3次世界大戦後。パリは廃墟と化した。戦争に勝ったとは言え、このままでは人類絶滅となるため、ドイツ語を喋る科学者たちは、「過去」と「未来」から救援物資を手に入れるため、フランス人捕虜の夢を利用してタイムトラベルの実験を試みる。
彼らは、とくに過去の記憶に取り憑かれた男を選び出す。彼は少年時代、オルリー空港の送迎台に現れた女性の記憶に取り憑かれていた。注射で大人の姿のまま、過去に送り込まれた男は送迎台の女と再会して愛し合う・・・。
実験がうまく言ったので科学者は、彼を未来に送り込む。彼は、未来人に頼んで世界を救うエネルギーを現代に持ち帰る。
男は、用済みとなり処分されるだろう。もう一度、彼は彼女に会いに行くが、それこそがオルリー空港の送迎台の彼女であり、彼が先に過去に来ていた科学者が彼を処刑するところだった。