ゴダールの再来と言われて久しいレオス・カラックス監督のアレックス・シリーズ第三弾。
欧州巨匠系映画の一品で、フランス系評論家たちはお気に入りのようだ。
しかし絵が暗くて、見にくい画像で困る。
アレックス(ドニ・ラヴァン)は、セーヌ川に掛かる、ポンヌフ橋で生活するホームレス。
火を噴くパフォーマンスで、小銭を稼ぐ河原乞食だ。
ある日、眼病を患って失明寸前の女流画家ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)が世をはかなんで、橋の生活に潜り込んできた。
アレックスは、彼とは違う世界の空気を漂わせる、彼女に恋心を抱く。
彼女はそんな彼の気持ちを利用して、睡眠薬強盗の片棒を担がせ、大金を稼ぐ。
二人は、セーヌ川の水上スキーをしたり、海へバカンスに行ったり、遊び回るが、次第に視力を失う彼女の心は晴れず、橋でのホームレスの生活に舞戻ってしまう。
ある日、アレックスは彼女の家族が尋ね人の広告を出しているのに気付く。
彼女の目の治療法が見つかったのだ。
アレックスは彼女が自分の元から去ることを恐れ、その広告を次から次へと燃やし、広告業者さえも誤って焼き殺してしまう。
しかしミシェルもその広告に気付き、アレックスを捨てて、橋を立ち去る。
警察に逮捕され、過失致死で三年の懲役となったアレックスだが、刑期も終わる頃、ミシェルが面会に訪れる。
彼と橋で出所祝いをしようと言う。
アホなアレックスは、すぐその気になってしまう。
橋で再開を果たした二人は、底なしに飲み続けるが、彼女はアレックスと復縁したくて橋に戻ってきたわけではなかった。
いまの新しい生活にも行き詰まっていただけなのだ。
再び怒り狂うアレックスは、ミシェルを道連れにセーヌ川へ飛び込む。
しかし、彼らは砂利運搬船に助けられてしまう。
ミシェルはこの船に乗って、二人で大西洋へ逃げようと、アレックスを誘うのだった。
☆
騙されるとわかっていても、騙されてしまう男の性と、騙す女のエゴを描いた映画だ。
最後はハッピーエンドの形を取るが、どうせ、また利用されるだけだろう(笑)
どうせなら、彼女が彼の元を去ったところで、彼女を追いかけて、彼女の見える方の眼球を銃でぶち抜くぐらいの終わり方をしてくれないと、面白くないなあ(笑)
筋を追いかけてもとくに面白い映画ではない。
阿部定の国に生まれた我々に、この程度の恋愛エゴを訴え掛けられても、何も感じない。
映像美的には橋に降り注ぐ、花火のシーンや、水上スキーのシーン、駅の広告すべて火を掛けて燃やすシーンなど、見どころはそれなりにある。
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!