ボブ・ディランも悩んだと思う。だってどんな賞でも受賞するなんて彼にとっては屈辱的だし、ノーベル賞は彼が忌み嫌って来たヨーロッパの権威の象徴のようなものだもの。
ディランの歌詞だけが評価されたという危惧があった。彼はシンガーソングライターなのだから、あくまで作曲と作詞をペアにして考えなければならない。それに対してだけはノーベル賞側は古代ギリシャの詩人も自ら演奏する楽器に乗せて歌っていたと説明している。
ノーベル賞側もいつまでも受賞の返事をしないディランに一時はもう連絡しないと言っていた。でも実は水面下で政治的折衝があったのだろう。お互いに折り合えるところを見つけて、欠席受賞となった。代演のパティ・スミスが歌詞を忘れたのはご愛嬌。
ノーベル文学賞はサルトルが受賞辞退してから哲学者に与えられなくなった。したがってディランがもし辞退すれば、歌手や作詞家の受賞のチャンスも奪われる恐れがある。それだけは避けたいと思っていたので、未来のシンガーソングライターのためにもめでたい。
それからノーベル賞の季節になったら村上春樹のところに取材に行くマスコミの皆さん、もうそっとしてあげてw。
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