J.R.R.トールキンの書いた世界的児童文学「指輪物語」の前日譚である「ホビットの冒険」。この映画はそれを映画化したシリーズ3部作の第一弾。「指輪物語」より視覚効果の技術が上がっていて見やすい反面、CGとはっきりわかるアニメ的なゴブリン王が残念だった、
拡大版は劇場版のうちカットされた部分を20分ほど追加している。
監督はピーター・ジャクソン、主演はマーティン・フリーマン、イアン・マッケラン。さらに「指輪物語」のレギュラー陣も多数登場する。
あらすじ
ビルボ・バギンズは、ホビットでありながら広い世界を夢見ていた。友人の魔法使いガンダルフがある日突然やって来て、彼を冒険の旅に誘う。その夜、トーリン王子率いる13人のドワーフ達もやって来て決起集会を始める。彼らは故郷エレボールをスマウグというドラゴンに奪われたので、体制を建て直し国を奪還しにいくのだ。冒険に対する好奇心にビルボは逆らえず、斥候役として彼らとともにエレボールに向けて旅立つ。
しかしドワーフの仇敵オークの王アゾグがトーリン達に刺客を仕向ける。彼らは苦戦を強いられ彼らはエルフの谷へと逃げ込んだ。ガンダルフは、エルフの王エルロンドに知恵を借りようと提案する。
しかし、トーリンはエルフ族に対して蟠りがあった。スマウグに襲われた時、エルフ族はドワーフの救援要請に応じなかった。しかしガンダルフの説得が実り、エルロンドはエルドールにドワーフが戻るための地図の暗号を解き明かした。
再び出発したトーリンたちを、ゴブリン族の罠に掛かる。ビルボも谷底深くに落ちてしまう。そこでビルボは不思議な指輪を見つける。ビルボはゴラムとのなぞなぞ合戦の末、指輪を手中に収める。
ゴブリンは、賞金のためトーリンをアゾグに引き渡そうと考えた。そんなときガンダルフはビルボと合流し、ゴブリンから逃げ、地上に出る。しかし連絡を受けたアゾグが圧倒的な力を見せつけ、トーリンたちは殺されそうになる。その窮地を救ったのはビルボだった。さらにガンダルフが呼び寄せたオオワシのおかげで、その場から逃げ出した。
ラストは今は荒れ果てたエレボール城が映し出され、金貨の山に埋もれたドラゴンが目を覚ます。
雑感
映画としては、「指輪物語」から僅か10年しか経っていないが、CGの進化がよく分かる作品だ。
作品としても英国俳優を多用してCGに対しての演技ながら、こちらの方が遙かに面白い。
ホビットの中でも好奇心旺盛なビルボと、魔法使いガンダルフ、そして城を取り戻すために旅立とうとしていたドワーフのトーリン達との出会い。そんなエキゾチックな雰囲気に飲まれて旅立ったビルボが映画の後半では成長を見せる。
それでビルボはゴラムから指輪を奪い、秘密兵器を手にする。本家ワーグナーの「指輪」では富の象徴だった指輪だが、この話では指輪を付けると、体を透明に出来る。トールキンはゴブリンとホビットを好対照な存在として見ていたようだ。
さらにビルボはエルフの剣を得て、攻撃力も増し勇敢になっていく。
なおこの指輪をゴラムは「愛しい人」と呼んでいて、アメリカ映画名台詞ベスト100入りしている。
マーティン・フリーマンは主人公としては老けすぎているがビルボの実年齢も50歳を過ぎていたから、これでいいのだろう。
イアン・マッケランは70歳を過ぎていたから、派手なアクションシーンは不可能で、恐らくスタントを使っていたのだろう。
スタッフ・キャスト
監督ピーター・ジャクソン
脚本フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン、ギレルモ・デル・トロ
原作J・R・R・トールキン『ホビットの冒険』
製作、キャロリン・カニンガム、ゼイン・ワイナー、フラン・ウォルシュ、ピーター・ジャクソン
製作総指揮アラン・ホーン、トビー・エメリッヒ、ケン・カミンズ、キャロリン・ブラックウッド
音楽ハワード・ショア
主題歌「はなれ山の歌」ニール・フィン
撮影アンドリュー・レスニー
配役
主人公ビルボ・バギンズ- マーティン・フリーマン
賢者ガンダルフ – イアン・マッケラン
ドワーフの王トーリン・オーケンシールド – リチャード・アーミティッジ
ドワーリン – グレアム・マクタヴィッシュ
バーリン – ケン・ストット
キーリ – エイダン・ターナー
フィーリ – ディーン・オゴーマン
エルフの女王ガラドリエル – ケイト・ブランシェット
エルフの王エルロンド – ヒューゴ・ウィーヴィング
賢者サルマン – クリストファー・リー
ラダガスト – シルヴェスター・マッコイ
指輪の持ち主ゴラム – アンディ・サーキス
スランドゥイル – リー・ペイス