青い海がまぶしいハワイで若者が起業をする姿を描くミュージカル観光映画である。
アラン・ワイスの原作をハル・カンターが脚色し、ノーマン・タウログが監督した。製作はハル・B・ウォリス。
主演はエルヴィス・プレスリー、共演はジョーン・ブラックマン、アンジェラ・ランズベリー。全編カラー映画。とくに海の青さが美しい。
あらすじ
チャド・ゲイツは、二年間の兵役を終えてハワイに帰ってくる。良家の子女と結婚して父親の会社を引き継いで欲しいと考える母親サラと対立していたので、彼はハワイとフランスの混血メールと将来を誓って、彼女の勧める観光会社に就職する。
チャドは、まず本土から訪れた美人教師アビゲールと女学生たちを迎えて一週間、ハワイを案内する。初仕事の前夜、チャドは自宅で開かれた帰国パーティーに恋人メールを連れていった。そこで皆は彼女を歓迎したが、母親だけはあからさまに嫌った。
翌日、チャドはアビゲールらをエスコートして、ドライブで名所を見せて回った。学生の一人エリーは色気付いていて、チャドに構って欲しいと絡む。酔っ払いがエリーをからかったことから、チャドは酔客と大乱闘を起こし、留置所に入れられた。
結局、父が身元引受人に来てくれるが、観光会社の社長にチャドはクビを宣告される。チャドは、母にメールとの交際をやめるように言われたが反抗して家を出る・・・。
雑感
プレスリーの歌謡映画としても、ハワイ観光映画としてもよくできた作品だ。「ブルー・ハワイ」はもちろん、「好きにならずにいられない」「ロッカフラ・ベビー」「ハワイアン・ウェディング・ソング」と言った名曲やスタンダードを次々とプレスリーは聞かせてくれる。
アメリカン・バラードとハワイアン・ソングを交えた楽しい構成である、エルヴィス・プレスリーのサウンドトラックLP「ブルー・ハワイ」は、79週間トップに君臨し、最も長い期間一位を続けた記録を樹立した。この記録は、16年後の1977年フリート・ウッドマックの「噂」によって破られた。
チャドが帰国して、ハワイの青い海にやって来るシーンがまぶしい。チャールズ・ラングの撮影は見事だ。
息子を溺愛する母親役のアンジェラ・ランズベリーは、のちに1962年映画「影なき狙撃者」でも息子に対して支配欲の強い母親の役を演じていた。
「G.I.ブルース」のヒロイン、ジュリエット・プラウズが選ばれていたが、ハワイ行きのことでごねたので、急遽メール役に影の薄いヒロインのジョーン・ブラックマンが抜擢された。彼女は、映画界ではあまり有名ではないが、連続テレビドラマ「ペイトンプレイス物語」の1965年のレギュラーを演じた。
年上の教師役を演じたナンシー・ウォルターの方が、ジョーン・ブラックマンより目立っていた。
スタッフ
製作 ハル・B・ウォリス
監督 ノーマン・タウログ
脚色 ハル・カンター
原作 アラン・ワイス
撮影 チャールズ・ラング
音楽 ジョセフ・J・リリー
キャスト
チャド・ゲイツ(旅行ガイド) エルヴィス・プレスリー
フラッド・ゲイツ(父) ローランド・ウィンタース
サラ・リー・ゲイツ(母) アンジェラ・ランズベリー
マリー・デュラル(恋人) ジョーン・ブラックマン
アビゲイル・プレンタンス(教師) ナンシー・ウォルター
エリー(わがまま娘) ジェニー・マックスウェル
***
チャドは思い切ってメールと独立して、観光コーディネーターの会社を起こす。アビゲールは、チャドに責任のないことを知っており、彼に引き続きガイドを依頼した。
チャドは、オアフを離れ一行をカウアイ島に連れてきた。エリーが、チャドの部屋へ来て誘惑したとした時、メールがホテルに到着した。チャドはエリーを追い出すが、今度はアビゲールが、チャドの父親の友人ジャックと婚約したことを知らせた。
ところが、窓の外から覗いていたエリーは、チャドとアビゲールの関係を邪推し、ジープを暴走させた。そして林に突っ込む。
翌朝、メールの誤解を解いたチャドは、父とジャックに会い、来年ジャックの会社がハワイで販売会議を開くことを承知させ、そのセッティングをチャドとメールが一手に引き受けることを契約する。そしてオアフのビーチで、チャドは、両親と仲間たちに囲まれ晴れてメイルと結婚する。