青春映画。田波靖男が脚本を書いて、福田純が監督した若大将シリーズ第13作。1969年正月映画。
カラー映画で、撮影は逢沢譲が担当。
主演はもちろん加山雄三だが、学生を演じられないほど貫禄が付いてきたので今回から社会人編となる。
実生活で横井英樹の長男と結婚を控えた星由里子に代わり、酒井和歌子が初めてマドンナに扮した。
レギュラー共演者は変わらず、青大将の田中邦衛、有島一郎、飯田蝶子、中真知子。
雑感
正月映画だけにスケート・シーンが目玉となるが、社会人対抗戦をやるわけでなく、デート・シーンの一つとして見せるだけで物足りない。
アクション映画を得意としたベテラン福田純監督は、かつて「日本一の若大将」「ハワイの若大将」を取っている。それなのに、時折今作品のような凡作を作る。
脚本も悪い。節子(酒井和歌子)の恋のライバル淳子(高橋紀子)が、もっとガツガツ行って、雄一と節子の二人の仲をかき乱して欲しかった。
星由里子から酒井和歌子に変わった時点で、新シリーズを立ち上げて設定をがらりと変えることができたのに、シリーズを維持したのは急に星のシリーズ卒業が決まったせいか。
キャスト
加山雄三 田波雄一
飯田蝶子 祖母田波りき
有島一郎 父田波久太郎
中真千子 妹田波照子
江原達怡 妹の夫江口
田中邦衛 青大将・石山新二郎
高橋紀子 美人の先輩社員・山田淳子
酒井和歌子 マドンナ高木節子
岡田可愛 同僚社員・大島昌子
草笛光子 バーのマダムめぐみ
スタッフ
製作 藤本真澄、大森幹彦
脚本 田波靖男
監督 福田純
撮影 逢沢譲
音楽 広瀬健次郎
ストーリー
田沼雄一も就職する時代になった。日東自動車の入社試験に遅刻しそうになったとき、後から来た高木節子と祖父にタクシーを譲ったために、会社に着いたときには試験は終わっていた。先輩社員淳子に頼み込んで受験をさせてもらう。その際、車の老整備工らしき男が、雄一に話しかけできた。雄一は、理由も聞かず門前払いした上司を攻撃した。ところがその整備工は社長だった。社長は、雄一に好感を持ち、彼社長の縁故枠で採用された。
田沼家では雄一の親友江口が妹照子の婿養子に入った。新婚夫婦の甘い雰囲気に祖母リキも若返ったようだ。逆にやもめの父久太郎は、いてもたってもいられなくなり近所のスナックに通い出す。どうやら美人ママめぐみにぞっこんのようだ・・・。
雄一は、会社のサービス課に配属される。取引先である東西オートの副社長就任祝いに駆け付けると、青大将こと石山が副社長だった。
節子と再会した。節子の兄は修理工場を経営していた。雄一は、週末毎に兄の修理工場に通い、整備士の免許を取った。しかし、石山が先んじて節子に求婚してしまう。その頃、久太郎もめぐみに振られる。
東西オートの得意先である北海道・北斗観光の竹内社長が突然上京する。石山は竹内をよく知っていて商取談は上手く行っていた。ところが、車両不良事故の続発により北斗観光は、取引を停止すると宣言する。日東自動車は整備士の免許を取った雄一を北海道に派遣し、不良車の検査に当たった。車両不良は、ライバル社から賄賂をもらっている北斗観光内部による故意のものだった。
雄一と石山は羽田に帰ってきた。迎えに来ていた節子は、石山の求婚を断り、雄一と帰って行くのだった。