1962年の「キングコング対ゴジラ」に次いで日米合作となった東宝作品。英国人メアリー・シェリーが1818年に書いた人造人間小説「フランケンシュタイン」を基にして、アメリカのSF作家ジェリー・ソウルが原案を考えて関沢新一が「フランケンシュタイン対ガス人間」という企画を立てるが没。続いて「フランケンシュタイン対ゴジラ」の脚本を木村武が書き、ゴジラ部分を地底怪獣バラゴンに置き換えたものを使っている。
監督は本多猪四郎、特技は円谷英二。主演はニック・アダムス、水野久美、高島忠夫。
あらすじ
昭和30年、広島で原爆投下で被曝した細胞の再生を研究しているボーエン博士と川地、李子の三人は、突然現われた白人児童の身柄を預かった。見る見るうちに、身長が大人の二倍にも成長する。坊やは倉庫の中で鎖に繋がれた。
そのころ秋田から広島を訪れた元海軍大尉河井は、日本の終戦直前に旧ドイツ軍Uボートからフランケンシュタインの心臓をひきとって、広島へ届けたと語った。フランケンシュタインの心臓は、蛋白質を補給さえすれば破壊されても復元するという。もしこの坊やがフランケンシュタインであれば、手足を切っても、新しい手足が生えるはずだ。その実験に世話係の李子は抵抗する。
そんなとき、坊やは倉庫を破り飛び出した。鎖でちぎられた手首が床の上を動いている。やはり坊やはフランケンシュタインだった。そのころフランケンシュタインは東進し、関西で家畜を喰い荒していた。
次いで白根山でハイカーが行方不明となった。警察や自衛隊はこれもフランケンシュタインのせいと考えた。
ボーエン博士に、河井が地下にもう一匹怪獣が隠れているらしいと報告する。博士らは、フランケンシュタインを保護しようと富士へと向う。富士山では、地下怪獣バラゴンとフランケンシュタインの対決が始まっていた。結局、バラゴンが傷つき巨大な穴を残して地中にもぐりこもうとするが、フランケンシュタインもバラゴンを追って、地上に引き摺り出しトドメを刺した。
ところが富士山にいるわけがないオオタコが現れて、フランケンシュタインに絡み付き、湖に引き摺り込んだ。一体、フランケンシュタインとオオタコはどこへ消えたのか?
雑感
フランケンシュタインの成長ぶりや、その後人間を傷付けるバラゴン許すまじと、必死に戦ってくれる彼に感動させられた。また高島忠夫がクールな役を演ずる、珍しい怪獣映画だ。
映画オリジナル版はそこまでなのだが、テレビ版になった際、カットするだけでなく、何故かオオダコのシーンも付け加えた。
結局、現在のDVDはこちらが残っている。「困ったときの円谷英二のオオダコ」だが、今回の登場はキングコングの住む島じゃないんだから、かなり無理があるだろう。
スタッフ・キャスト
監督 本多猪四郎
特撮監督 円谷英二
原案 ジェリー・ソウル
脚本 木村武
製作 田中友幸
音楽 伊福部昭
撮影 (本編)小泉一、(特撮) 有川貞昌、(特撮) 富岡素敬
編集 藤井良平
配役
川地堅一郎:高島忠夫
ジェームス・ボーエン:ニック・アダムス(声の吹替:納谷悟朗)
戸上季子:水野久美
河井大尉:土屋嘉男
フランケンシュタイン:古畑弘二
西秀雄(岡山県警本部長):田崎潤
大阪府警署長:藤田進
広島衛戍病院軍医:志村喬
須賀博士:中村伸郎
田所警部補:佐原健二
大阪府警幹部:伊藤久哉
村田(潜水艦艦長):田島義文
リーセンドルフ博士:ピーター・マン
バラゴン・自衛隊員(2役):中島春雄