前年の「フランケンシュタイン対地底怪獣」に続いてベネディクト・プロとの合作により「サンダとガイラ」が作られた。これは前作とは見かけ上、独立しているが、水野久美が似たような科学者役で出演していて後編的パラレルワールドになっている。さらに主演にハリウッドスターであるラス・タンブリン(ヤングガン(1956))と佐倉健二を起用している。

 
ドラマは前半からガイラの残酷シーンがあり、全編的にアクションシーンが続いている。
監督は本多猪四郎、特技監督は円谷英二、脚本は木村武(馬淵薫)と本多猪四郎、製作は田中友幸
 

あらすじ

 
巨大なフランケンシュタインが羽田に出現して、人間を食べた。かつて京都の研究所は新しい人造フランケンを作ることに成功したが、フランケンは逃げ出したことがあった。スチュアート所長はフランケンが海にいるわけがないし、アケミは人間を食べはしないと報道陣に語る。
巨大フランケンは谷川岳にも現われた。調査してみると、これが研究所から逃げたフランケンのものと判明した。海のフランケンが動き出したことで刺激を受けたようだ。

 
世界各国の科学者は討論の末「海のフランケンは山のフランケンが琵琶湖底で足の肉片をそぎ落としたが、プランクトンが豊富なため細胞増殖し新たなフランケンに育ち、海へ逃げ出した」と結論した。山のフランケンは“サンダ”、海のフランケンは“ガイラ”と名付られた。その細胞増殖を防ぐために、自衛隊はガイラを、原子力放射メーサー砲で細胞ごと死滅させる作戦だ。
ところがサンダが現われ、負傷したガイラを守った。しかしガイラは復活すると、まだタンパク源である人間を食べ始める。そしてサンダに頭突きを浴せた。サンダはしきりに止めたが、ガイラは言うことを聞かず戦いとなった。サンダは自衛隊の後押しもあり、ガイラを東京湾の外へ送り出す。その時、海底火山が爆発し、二体のフランケンは沈んでしまった。
 

雑感

 
前作は優しいフランケンだったのに、今作では最初から人間をムシャムシャ食べるシーンがあり、怖いよりもがっかりした。
前作と比較して、山彦海彦のようにただ兄弟喧嘩しているような映画だった。
ラストも突然海中火山が爆発するとか、適当だった。

 
作品中、時折ラス・タンブリンはやる気がなく、視線をキョロキョロするシーンが見られた。リテイクするのが普通だが、彼は毎日定刻に直帰するので、時間的余裕はなく、共演の水野久美を怒らせたそうだ。
ラス・タンブリンの声は、当時「逃亡者」デビッド・ジャンセン役の声を演じていた睦五郎

 

スタッフ・キャスト

監督 本多猪四郎
特技監督 円谷英二
脚本 馬淵薫、本多猪四郎
製作 田中友幸、角田健一郎
音楽 伊福部昭
撮影 小泉一
特撮 有川貞昌、富岡素敬

 

配役
配役
ポール・スチュワート博士:ラス・タンブリン(声:睦五郎
間宮雄三博士:佐原健二
戸川アケミ:水野久美
橋本陸将補:田崎潤
外国人歌手:キップ・ハミルトン
平井(海上保安部):田島義文
喜田教授:中村伸郎
泉田課長(海上保安部):伊藤久哉
風間二佐:桐野洋雄
亀田三郎(第三海神丸の操舵手):山本廉

フランケンシュタインの怪獣 サンダとガイラ War of the Gargantuas 1966 東宝+米ベネディクト・プロ製作 東宝配給

投稿ナビゲーション