たった一台のM4シャーマン戦車で300人もの親衛隊に戦いを挑む5人のアメリカ兵を描く、ブラッド・ピット主演の戦争映画。
ドイツ軍のタイガー1型戦車の激しい戦車バトルでは当時の戦車を使用した。リアリティ重視の戦闘シーンが売り。
監督・脚本はデヴィッド・エアー。
主演はブラッド・ピット、ローガン・ラーマン。
共演はシャイア・ラブーフ、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、アリシア・フォン・リトベルク。
あらすじ
1945年4月、連合国がナチスに早く降伏させようとしていた。第2機甲師団に所属している、ドン（通称ウォー・ダディー）が車長兼通信手を務めるM4 シャーマンの「フューリー」号には、砲手ボイド（バイブル）、装填手グレイディ（クーンアス）、操縦手トリニ（ゴルド）が乗っていた。。
前方機銃手の補充として新兵ノーマンが配属される。ノーマンは戦闘に参加したことが無かった。
戦車隊が縦列行軍中、ノーマンは木陰に人影を見つけるが警告しなかった。そのせいで先頭を走る戦車乗員全員が焼け死ぬ。さらにドイツ軍対戦車砲に対しても、ノーマンは戦おうとしなかった。ウォーダディーはノーマンに生き残る方法を教えるため、力づくでノーマンに捕虜のドイツ兵を射殺させる。
その後の小さな戦いを通してノーマンとウォーダディーの絆は深まる。占領地でウォーダディーとノーマンは、ドイツ人女性のイルマとエマに出会う。ピアノが弾けるノーマンと気が合ったエマはベッドを共にして、4人でまともな食事をしようとしたが、ゴルドらがやって来て、嫌がらせを行う。そこへ伝令が来てウォーダディー達は任務に戻るが、途中でドイツ軍の空襲に晒される。砲弾がイルマのアパートを直撃し、エマは死亡する。それ以後ノーマンは憎悪を募らせ、ドイツ軍を容赦なく射殺する。
ドイツ軍は丘の手前の交差点を通って攻撃してくるため、ウォーダディーの４台からなる戦車隊は交差点守備を命じられる。道中伏兵のティーガー1号から攻撃される。4両のうちウォーダディー以外の3両が撃破され、フューリーがティーガー1号の背部装甲板からトドメを刺す。その際、車上無線機が壊れてしまう。
フューリーは一台で先に進み、交差点に到着するが地雷を踏んで走行不能になる。約300名からなる武装親衛隊は輸送車を伴い歌いながら行進してくる。
死んだ振りをして敵を引きつけたフューリーは、戦車砲とすべての小火器・手榴弾を使い、武装親衛隊に多数の損害を与える。だが、多勢に無勢で、フューリー側の弾薬が尽きてくる。3名の乗組員は銃撃を受けて亡くなる。車内に残されたのは身体中に銃撃を受けたウォーダディーとほぼ無傷のノーマンだ。ウォーダディーはノーマンに戦車の下部ハッチから地雷の開けた穴に潜れと命ずる。ウォーダディーは戦車の中に放り込まれた手榴弾の爆発によって戦死する。ノーマンは1人の若いドイツ兵士に発見されるが、何故か無視して先に進んでいった。
翌朝、到着したアメリカ軍が車内にいたノーマンを発見し救出され英雄として扱われる。どうやら作戦は成功したようだ。後にはM4の残骸とその周りに集まっているドイツ武装親衛隊の死体が所狭しと並んでいた。
雑感
リアルな戦争ドラマ。少年兵が初戦闘から英雄になるまでと、ベテラン鬼軍曹の最後の姿を描いている。
最初の副操縦士の遺体を運び出した後、顔半分だけが戦車内に残っているシーンはショッキング。
戦争というものは、本当の親子ではないのに軍曹と二等兵の関係を親子に近付けるものなのか？
映画でのパンツァーファウスト（携帯対戦車砲）の使い方がなっていないとか偉そうなことを言うオタク（モデラー）がいるが、戯言である。自衛隊出身者に聞くと、パンツァーファウストは最新型でない限り威力はかなり落ちたそうだし、後期M4シャーマンの側面装甲はかなり厚くてそう簡単にうち抜かれなかったようだ。戦術にもリアリティはあると言っている。
それよりも生粋のドイツ娘エマがユダヤ人アメリカ兵ノーマンのピアノを聞いた途端に恋におちるシーンの方が違和感があった。
何よりも唯一残っているタイガー1型戦車をリストアさせて使っているのだから。
なお、「フューリー」という名をつけられたシャーマンM4の写真は一枚残されている。この写真を元にして映画は企画されたようだ。
ブラッド・ピットも後から起用が決まったのだが、きっちり製作総指揮に収まっている。
スタッフ
監督、脚本 デヴィッド・エアー
プロデューサー デヴィッド・エアー、ビル・ブロック、ジョン・リーシャー、イーサン・スミス
エグゼクティブプロデューサー アントン・レッシン、ブラッド・ピット、サーシャ・シャピロ、ベン・ワイスブレン
音楽 スティーブン・プライス
撮影 ローマン・ヴァシャノフ
キャスト
フューリー乗組員
ドン・コリアー（ウォーダディー） ブラッド・ピット
ボイド・スワン（バイブル） シャイア・ラブーフ
ノーマン・エリソン（マシン） ローガン・ラーマン
トリニ・ガルシア（ゴルド） マイケル・ペーニャ
グラディ・トラヴィス（クーンアス） ジョン・バーンサル
マイルズ軍曹 スコット・イーストウッド
パーカー中尉 ゼイヴィア・サミュエル
ワゴナー大佐 ジェイソン・アイザックス
ピーターソン軍曹 ケヴィン・ヴァンス
イルマ アナマリア・マリンカ
エマ アリツィア・フォン・リットベルク