2015年のフランス・アメリカ合作のドキュメンタリー映画。
監督はケント・ジョーンズ。
「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」(英題 Hitchcock/Truffaut)は、フランソワ・トリュフォーが1962年にアルフレッド・ヒッチコックに対して行ったインタビューを、ドリュフォー自身がまとめた映画の教科書である。
今回の作品「ヒッチコック/トリュフォー」は、残されたインタビューのビデオやテープを2015年にケント・ジョーンズが再編集したドキュメンタリーである。さらに今をきらめく大監督たちのインタビューを間に挟んで、効果を出している。
ヒッチコックのトリュフォーによるインタビュー映像は白黒フィルムで、後世になってからの映画監督に対するインタビューは、カラーになっている。
日本語字幕は、原作書の翻訳を手掛けた山田宏一自身が担当している。
あらすじ
原作を書く過程でトリュフォーは、米ユニバーサル会議室で通訳やカメラマンを交えて、長期にわたるインタビューをヒッチコックに行っている。
その音声テープと写真を題材にして、現代の名監督であり評論家であるジェームズ・グレイ、マーティン・スコセッシ、ポール・シュレイダー、ウェス・アンダーソン、デヴィッド・フィンチャーらにも追加インタビューを行い、ヒッチコックの映画術が多くの映画監督に受け継がれていることを明らかにする。日本からは、黒沢清が参加している。
とくに名作である「めまい」と「サイコ」については、コーナーを撮って特集している。
雑感
ヒッチコックは、ヘボな評論家の批評にはウンザリしていたが、トリュフォーのような芸術的映画作家からのインタビューは喜んで受けた。下ネタを交えて話を盛り上げて、女性通訳が通訳しないこともしばしばだった。でもトリュフォーは、恐らく意味を理解していただろう。
本作は、批評家から絶賛を受けた。「Rotten Tomatoes」には「映画人にとって不可欠な視点」だと書かれてあった。
この映画は80分と短く、ヒッチコック映画の全貌を知るには足りないが、ネタばれしているわけではないので、ヒッチコックに少し興味を持った人が見るには良い。
スタッフ
監督 ケント・ジョーンズ
脚本 ケント・ジョーンズ、セルジュ・トゥビアナ
原作 フランソワ・トリュフォー「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」
製作 チャールズ・S・コーエン、オリビエー・ミル
音楽 ジェレミア・ボーンフィールド
撮影 ニック・ベントゲン、ダニエル・コーウェン、エリック・ゴーティエ、ミハイ・マライメア・Jr、リサ・リンツラー、ゲンタ・タマキ
キャスト
アルフレッド・ヒッチコック
フランソワ・トリュフォー
*
オリヴィエ・アサヤス
ピーター・ボグダノヴィッチ
アルノー・デプレシャン
デヴィッド・フィンチャー
ジェームズ・グレイ
黒沢清
リチャード・リンクレイター
ポール・シュレイダー
マーティン・スコセッシ