温泉リゾート地パーム・スプリングスに向かった大学バスケット部の面々は若い女性たちと知り合い、復活祭の間に恋の炎を燃やすが・・・。
アール・ハマー・ジュニアの脚本をノーマン・タウログが演出したコメディ映画。日本流に言えばほろ苦要素全く無しの甘口青春映画である。撮影はハロルド・リップステイン、音楽をフランク・パーキンスが担当した。カラー映画である。
主演はトロイ・ドナヒュー(恋愛専科)、ステファニー・パワーズ。共演はタイ・ハーデン、コニー・スティーヴンス、ロバート・コンラッドなど。テレビドラマで人気となった俳優たちを集めた青春恋愛ドラマで、ハリウッド映画も次第にTV風に様変わりしてきた。
日本では「パームスプリングの週末」と言う題名で、1964年2月公開。
あらすじ
ロスの大学バスケ部が復活祭の春休みを利用してパームスプリングスへ合宿旅行に出かける。ジムは医学生で部のキャプテンだ。同じバスには美女ゲイルが乗っていたが、金持ちエリックの車に同乗して先に行ってしまう。エリックはゲイルの前で格好を付けるために、途中でテキサス訛り丸出しのハリウッド・スタントマンのストレッチの車を途中で煽る。
ゲイルは安ホテルのオーナーと価格交渉してオーナーの息子ブンブンのお守りをする代わりに、無料でアマンダと同じ部屋に泊めてもらう。その宿にはストレッチも泊まっていた。一方エリックは高級なリビエラ・ホテルに泊まっている。
ジムはレコード店で警察署長の娘バニーと知りあった。彼らは意気投合し、プールでデートする。同僚ビフも来ていたが、アマンダがブンブンから目を離した隙にビフの尻を蹴り飛ばしてプールに叩き込んだ。これがキッカケでビフとアマンダは親しくなる。その夜、ジムはバニーの友人宅のパーティーに参加するが、闖入した地元の悪と殴り合いになり警察沙汰になる。
翌日、ブンブンが朝からビフを安ホテルのプールに蹴落とした。ビフの持っていた洗濯用の石鹸がプールに落ちて一面泡だらけになってしまい、そこへジムやイェイツ夫人までプールにはまり大騒ぎになる。
バニーは自宅で謹慎しているが、父親である警察署長に取り入り何とか外出の許可を得る。ジムらバスケ部メンバーもコーチから外出許可を得て、エリックが企画したパーティーにゲイル、バニーらと参加する。ビフはアマンダを誘おうとして、大人しくさせるためブンブンに睡眠薬入りミルクを飲ませようとするが、ブンブンびミルクを入れ替えられ、ビフの方が昏睡してしまう。
バニーとジムは涼みに外へ出るが、翌日に二人は別れねばならず、バニーは泣いてしまう。遊びたい盛りのジムも女の涙に勝てず(医師免許を取るまでの)7年間待って結婚しようと言う。
だがエリックがゲイルを力づくで彼女を自由にしようとしたため、通りかかったストレッチが彼を殴り倒しゲイルを救った。しかしストレッチに八つ当たりをするエリックは車で再び後ろから煽り、ストレッチの車が転倒事してしまう。エリックは近くにいた人とストレッチを助けるが、エリックは逃亡する。
翌日エリックは自首したが、それには彼を放置する父親へのいやがらせも混っていた。警察でジムに悟され、自分を悔い改めた。ゲイルは骨折で入院するストレッチに、21歳と嘘を吐いていたが実は高校生だと白状し、二人は再会を誓い合った。
バスケ部一行が帰途につくとき、パトカーでバニーが署長と駆けつけ、ジムをずっと待っていると約束する。署長は一行に、来年もパームストリングスに来て欲しい、でも両親と一緒にと述べる。警官が若者たちのお守りをするのはかなわないからだ。
今日の一言
If he calls, don’t say “Eric”. Say: “your son sends his regards”, Eric may not ring a bell.
父は息子を放置して、六度目の新婚旅行に向かったことに、ファザコンのエリックが怒って執事にこう告げた。『親父から電話があったら「エリック」と言わず、息子さんがよろしくと伝えていましたと言ってくれ。「エリック」では誰のことか分からないかもしれないから』
S may not ring a bell = not ring a bell with S
= Sに思い当たる節がない、Sを思い出さない
雑感
若大将シリーズのような青春映画。でも金髪トロイ・ドナヒューが医学部生の上にバスケット優勝チームのキャプテンでハンサム、背も高い好青年ときている。田舎娘ステファニー・パワーズ(TVドラマ「探偵ハート&ハート」の妻役)はポーランド系黒髪だが、二人の間に全く釣り合いを感じない。彼は彼女を楽々口説き落とすが、別れる段になって泣き付かれて、仕方なく結婚を承諾したとしか見えなかった。
トロイ・ドナヒューは映画「避暑地の出来事」(1959年、相手役サンドラ・ディー)、「恋愛専科」(1962年、相手役スザンヌ・プレシェット)などに出演している。1960年アメリカのTVドラマ「サーフサイド6」「ハワイアン・アイ」に出演して人気を確実にした。日本での人気は凄まじく、この映画の主題歌「恋のパームスプリングス」もヒットした。しかし1964年1月にスザンヌ・プレシェット(フランス系黒髪)と結婚し、9ヶ月後に離婚して、1965年には女の子に飽きられて人気も落ち目になり、映画でサイコキラーの役を演じたりした。
歌の題名は今でこそ正しくパームスプリングスとなっているが、当初はパームスプリングと言われてカバー曲が作られ、映画のセリフも地名部分はパームスプリングと呼ばれていた。
コニー・スティーブンス(TVドラマ「ハワイアン・アイ」ヒロインで撮影家役)がトロイ・ドナヒューと映画で共演するのは三作目。ただし今回はドナヒューはステファニー・パワーズと結ばれ、スティーブンスはロバート・コンラッド(TVドラマ「ハワイアン・アイ」主役)を倒したタイ・ハーディンと付き合う。なおトロイ・ドナヒューも「ハワイアン・アイ」には相棒役アンソニー・アイズリーが降板した後の最終シーズンだけレギュラー出演している。
個人的な好みでは、アマンダを演じたジーム・ノースのスッピン顔に非常に好感を持った。
そのお相手役のジェリー・ヴァン・ダイクは「ディック・ヴァン・ダイク・ショー」や「メリー・ポピンズ」に出演した偉大なる兄ディックにそっくりであり、芸風まで似ていたから、損をしただろう。
監督ノーマン・タウログは1931年アカデミー監督賞と1938年ヴェネチア国際映画祭最優秀映画賞を受賞している。また「踊るニュウ・ヨーク」(1940)「逃げた花嫁」(1948)「お若いデス」(1955年ジェリー・ルイス主演映画)「ブルーハワイ」(1961年プレスリー映画)などを監督した。
スタッフ
監督 ノーマン・タウログ
製作 マイケル・A・ホーイ
脚本 アール・ハマー・ジュニア
撮影 ハロルド・リップステイン
音楽 フランク・パーキンス
主題歌 トロイ・ドナヒュー 「恋のパームスプリングス」(Live Young)
挿入歌 モダン・フォーク・カルテット「The Ox Drivers」(牛追いの歌)
キャスト
ジム トロイ・ドナヒュー
ゲイル コニー・スティーヴンス
スタントマンのストレッチ タイ・ハーデン
署長の娘バーニー ステファニー・パワーズ
金持ちの息子エリック ロバート・コンラッド
ディクソン警察署長 アンドリュー・デュガン
キャンベル・コーチ ジャック・ウェストン
柔道の使い手アマンダ ジーム・ノース
同僚ビフ ジェリー・ヴァン・ダイク
安ホテルオーナーのイェイツさん キャロル・クック