日米開戦直前、ハリウッドに招かれたニューヨークの劇作家が宿泊先のユダヤ系ホテルで説明できないような出来事に出会う。1991年カンヌ国際映画祭三冠(グランプリ/監督賞/主演男優賞)に輝いたが、その後多重受賞は制限されるようになった。
監督・脚本はジョエル・コーエン、製作・脚本はイーサン・コーエン、撮影はロジャー・ディーキンスが担当。
主演はジョン・タトゥーロ、ジョン・グッドマン。
あらすじ
1941年、ニューヨークで庶民派劇作家として名声を集めていたユダヤ人バートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)はハリウッドのキャピトル映画に招かれた。庶民的なホテル・アールに宿泊したバートンは、早速社長リプニック(マイケル・ラーナー)と出会い、レスリング映画の脚本の執筆を依頼される。
ホテルに籠もって仕事をするが、レスリングを全く知らないバートンには何も書けない。そんなとき隣室から笑い声が聞こえてきた。フロントに苦情を告げると、声の主が自ら出向いてきた。彼は太っちょな保険セールスマン、チャーリー(ジョン・グッドマン)と言い二人はすぐ親しくなり、レスリングの技の掛け方を教えてもらう。しかしバートンは一行も書けず、大作家メイヒュー(ジョン・マホーニー)の秘書兼愛人兼ゴーストライターオードリー(ジュディ・デイヴィス)に知恵を借りようと呼び出し、勢いで一夜をともにする。
ところが翌朝オードリーは血だらけでベッドに横たわっていた。驚いたバートンはチャーリーに助けを求めると、オードリーが死体をどこかに運び去った。そのままチャーリーはニューヨークに出張で出かけたが、ホテルには刑事が現れ、チャーリーは偽名で連続殺人犯ムントだと言う。
バートンは何故か一心不乱に書き始めた。部屋に戻ると刑事がガサ入れしており、オードリーの血痕を発見される。そこへチャーリーが姿を現し、放火して刑事をライフルで撃ち殺し、自室へ姿を消した。ついに完成した原稿(魂とのレスリングを描いた文芸大作)を、これから太平洋戦争に出征する社長に見せると、こんなのレスリング映画ではないとNGを食らってしまう。バートンは、海岸である女性と出会う。それはホテルの壁に掛かっていた絵そっくりな女だった。
雑感
多少、蚊のいないハリウッドで蚊に刺されるなど、不条理が入っているが、コーエン兄弟のは薄めである。
ただしカリフォルニアとは思えないねっとり感があり、デビッド・リンチの影響を感ずる。
バートンは神経質な人間で、カリフォルニア(とくにハリウッド映画界)の空気とは合わなかった。
だから、不安が様々な心身的な症状を生み出す。
オードリーを殺したのはチャーリーだろう。
彼が置いて行った箱には彼女の首が入っている。
もちろんそうでない答え(例えばバートン犯人説)もあるだろう。
お好きな方を選べば良い。
スタッフ・キャスト
監督 ジョエル・コーエン
製作 イーサン・コーエン
製作総指揮 ベン・バレンホルツ 、 テッド&ジム・ペダス 、 ビル・ダーキン
脚本 ジョエル・コーエン 、 イーサン・コーエン
撮影 ロジャー・ディーキンス
衣装デザイン リチャード・ホーナング
音楽 カーター・バーウェル
配役
バートン・フィンク ジョン・タトゥーロ
保険外交員チャーリー ジョン・グッドマン
秘書オードリー ジュディ・デイヴィス
リプニック社長 マイケル・ラーナー
作家メイヒュー ジョン・マホーニー
重役ルー・ブリーズ ジョン・ポリト
ボーイ スティーブ・ブシェミ