「600万ドルの男」(サイボーグ危機一髪、1972ー1978)とそのスピンオフ番組「地上最強の美女バイオニック・ジェミー」(1976-1978)がともに放送終了後、9年経って単発のテレビ映画として復活した。
600万ドルの男と呼ばれるスティーブ・オースチンは宇宙飛行士だったが飛行中の事故で片目、右腕、両足を失ってしまうが、政府が600万ドル掛けてサイボーグに改造して、その特殊な能力を使いアメリカを危機から救う。既にテレビ界でキャリアを10年以上積み上げて来たリー・メジャースが演じている。
一方ジェミー・ソマーズはスティーブ・オースチンの恋人だったが、スカイダイビング中に事故で右耳、右腕、両足にバイオニックを移植して、バイオニック・ジェミーと呼ばれるに至る。しかし移植の拒絶反応からスティーブをはじめとするあらゆる記憶を失っている。彼女の役をオリビア・ニュートン・ジョンに似たリンゼイ・ワーグナーが演じている。
なお、「600万ドルの男」はテレビ朝日系列で放送され、同じメンバーが同時期に出演している「バイオニック・ジェミー」は日本テレビ系列で放送されて、いわゆるねじれ現象が起きていた。原題を訳すと「600万ドルの男とバイオニック・ジェミーの復活」
となるが、邦題が「バイオニック・ジェミースペシャル」となっているのは、この番組を買ったのが日本テレビであり、当時既にロードショーは水曜日から金曜日に変わっていたが、おそらく金曜ロードショーで放送したのではないか。だからテレビ朝日をイメージさせる600万ドルは使えなかった。
あるいは、単純に600万ドルよりジェミーの方が日本で人気があったから、ジェミー単独のテレビ映画にしたかったか。
アメリカでもバイオニック・ジェミーの人気は凄くて77年度のエミー賞主演女優賞に輝いている。それでもアメリカは「600万ドルの男」を前面に立てて番組を作った。その辺りはアメリカが律儀だ。リー・メジャースが出資したのかもしれないが…。
あらすじ
フォートレスの残党がスティーブやジェミーを襲う。ともに未遂に終わったが、世界転覆のためにバイオニックを悪用するとして、OSIがスティーブに組織に復帰するように申し込んだ。しかし答えはノー。フォートレスは首領ステニングを監獄から脱走させ本格的な作戦に移る。
その頃、スティーブの息子マイケルが空軍パイロットとなり記念飛行を行う。しかしスティーブとジェミーの目の前で飛行機は落下する。
脱出したマイケルも再起不能の重傷を負ったが、スティーブは迷わずゴールドマンOSI局長のもとへ出頭して息子にバイオニック移植手術を行ってくれと頼む。
病院には既にバイオニック手術の権威ルディ・ウェルズ博士が行っていた。手術は成功したが、心の傷はそう簡単には癒えない。
そこでジェミーがカウンセラー兼トレーナーとなり体の動かし方を一から叩き込んだ。しかしマイケルがバイオニックの体に適応した頃、ルディとマイケルが拐われてしまった…。
リー・メジャースはダイエットしなければ駄目だ。太りすぎ。ほとんどがスタント任せになっている。
リンゼイ・ワーグナーは相変わらず美人だが、元々安産体型だったのがさらにお尻が大きくなって動きが鈍い。
何よりもあれから10年近くたったのに、相変わらずスローモーションで高速運動を再現するローテク特殊技術には吃驚した。
しかし時代の変化を受け入れた部分もある。
音楽や髪型、ファッションだ。あと夜のバーで格闘するシーンも80年代ぽかった。
あとはやっぱり低予算番組だった。
監督:アラン・J・レヴィ
脚本:マイケル・スローン/ブルック・チョイ
撮影:マリス・ジャンソンズ
音楽:ビル・コンティ
出演:
リー・メジャース (スティーヴ・オースティン)
リンゼイ・ワグナー (ジェミー・ソマーズ)
リチャード・アンダーソン (OSIゴールドマン局長)
トム・シャンリー (スティーヴの息子・マイケル)
マーティン・E・ブルックス (ルディ・ウェルズ、バイオニックの研究者)
リー・メジャース・Jr (カスティリアン)
マーティン・ランドー (ステニング、刑務所に服役中)
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