ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」は、オリジナルであるケルト神話をゴッドフリート・フォン・シュトラスブルクが12世紀に翻訳したものである。
一方、この映画は元のケルト神話を直接脚色したもので、ワーグナーとは何の関係なく、彼の音楽も使われていない。

 

 

あらすじ

 
ローマ帝国撤退後のイングランドは群雄割拠してしまい、アイルランドと比べ個々の国の力は弱かった。その中でもアイルランドと同じケルト人のコーンウォール王国のマーク王はよくイングランドの群雄をまとめて、アイルランドと対峙してきた。コーンウォール王に息子がわりとして養われたトリスタンはすくすく育ちイングランド一の剣士となった。ある日、アイルランドが攻めてきたがコーンウォールはこれを迎え撃ち撃退する。しかし敵将モーホルトによって毒の刃で切られたトリスタンは沖に流れ出し、アイルランドの浜辺に打ち上げられる。それを見つけたのが、モーホルトの婚約者だったアイルランドの姫イゾルデである。献身的な世話によってトリスタンは回復する。しかしトリスタンは姫の身分を知らない。そして二人は禁断の恋に炎を燃やす。しかしトリスタンが故郷へ帰らなければならない時が来た。
コーンウォール城に戻ると、アイルランド王から姫を賭けた剣闘会が行われる予定で勝者は姫を手に入れると言う。トリスタンは勝って姫を王に献上しますと宣する。その言葉の通り、トリスタンは勝ったが姫の顔を見て愕然とする。
結婚式を過ぎても、妃となった姫に対する想いは変わらない。姫も同じだ。ついに密通する。しかし王にバレてしまい、トリスタンは城を追放される。その隙にアイルランドがまた攻め込んでくる。トリスタンは火の手が上がっている城へ入り、王を助け、姫を海に逃がしアイルランドの将軍を倒すが、自分も致命傷を負う。それでも弁慶の立ち往生のように、敵に立ち塞がり、コーンウォール城を救う。

 

雑感

 
オペラだと、映画後半のトリスタンがアイルランドの姫イゾルデを迎えに行き、コーンウォールまで送り届けるところから始まる。
映画の前半の部分は一切省略されている。オペラでは姫君の薬学知識は毒薬や媚薬を作る腕に生かされている。またオペラの最期は二人とも死んでしまう。そこが「ロミオとジュリエット」のベースになったと言われている根拠の一つだ。
だから、オペラの方が短い話に対して細かな心情を表現している。
映画はそれに対して、長い話をよくまとめて若い愛情をぶつけてきている感じ。でも嫌いではない。
 

スタッフ・キャスト

 
監督 ケヴィン・レイノルズ
製作総指揮 リドリー・スコット 、 トニー・スコット 他
脚本     ディーン・ジョーギャリス
衣装デザイン マウリツィオ・ミレノッティ
音楽      アン・ダッドリー
プロダクション・デザイナー マーク・ゲラティー
撮影監督 アーサー・リーンハート
 
トリスタン      ジェームズ・フランコ
イゾルデ          ソフィア・マイルズ
マーク王(コーンウォール) ルーファス・シーウェル
ドナカー王(アイルランド) デイヴィッド・パトリック・オハラ
ウィクトレッド          マーク・ストロング
メロート               ヘンリー・カヴィル
モーホルト          グラハム・ムリンズ

トリスタンとイゾルデ Tristan + Isolde 2006 リドリー・スコット製作総指揮 20世紀フォックス配給

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