「トラ・トラ・トラ!」を見直してみると、攻撃シーンは案外30年後の「パールハーバー」そのまんまだな。
この10年前の「地上より永遠に」でも変わらない。
そして外交交渉シーンはルーズベルトの陰謀説寄りだ。
昨今の情報公開によって、ますますその考え方がアメリカで力を持っている。
この映画は、このような太平洋戦争観によって作られた。
しかし日本人からすればこういった歴史観は歪んでいる。
日本軍は真珠湾を攻撃して、その次はどうするつもりだったのか?
その次は?そしてその次は?
1年で休戦、講和へと進むつもりなら、何故そのような道のりを選択しなかったのか?
戦術ばかり考えて戦略が全然見えないのが日本人の悪癖である。
状況判断が出来ない民族なのだ。
役者はオールスター映画なので細切れで登場し、誰が誰の役かわからなくなる。
マーティン・バルサムジェイスン・ロバーヅのコンビは「大統領の陰謀」の新聞社編集長・副編集長のコンビだったのではないかな。
まあ、この映画もルーズベルト大統領の陰謀といえなくもない。
他にエドワード・アンドリューズリチャード・アンダーソンジョセフ・コットンなども出ていた。
オールスター戦争映画にしては俳優に力が入ってないなと思った。
それと引き替え、日本の俳優陣は凄い。
山村聡(山本五十六)三橋達也(源田実)田村高広(渕田中佐)東野英治郎(南雲忠一中将)島田正吾(野村駐米大使)千田是也(近衛前首相)内田朝男(東条首相)。
しかし彼らが何に動かされているのか、アメリカ人にはわかっただろうか?
また現代の日本人にもわかっただろうか?
日本のシーケンスははじめは黒澤明が演出することになっていたので、脚本にも手を入れている。
しかし黒沢は降板して、舛田利雄深作欣二に引き継いだ。
日活・東映連合軍になったのだ。
しかしトーンは東映だな。

トラ・トラ・トラ!(1970)20世紀フォックス

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