ミステリーの巨匠アイラ・レヴィンの舞台劇「デストラップ」をシドニー・ルメットが映画化。
スリルにあふれていて、なかなか緩むところがないので、最後まで楽しめる作品である。
日本人には評価が高く、アメリカ人にはそれほどでもない。
シドニーはスリラー専門の劇作家。
しかしヒットから長く見放され、追い詰められていた。
そんな彼の元にかつての大学での教え子クリフから戯曲の草稿が送られてきた。
手を加える必要もないほど、素晴らしい出来だった。
彼はクリフを自宅に招いて暗殺し、戯曲を自分のものとして発表するつもりと心臓に病を持つ妻に打ち明ける。
妻は止めてくれと頼むが、彼の決心は固い。
そしてクリフが原稿を持ってやって来て、シドニーに絞め殺される。
しかし近所で評判の霊媒師ヘルガが突然訪ねてきて、異変を言い当てる。
何とかヘルガを追い返してシドニーは寝る前にブランデーを飲みたいと妻に頼んだ。
しかしヘルガが生き返って、妻は恐怖のあまり心臓麻痺で死ぬ。
実はシドニーとクリフは愛人関係であって、妻の遺産を狙って相図った犯罪だった。
葬儀終了後、クリフはシドニーの秘書となる。
しかしクリフはこの事件を戯曲として発表しようとシドニーに持ちかける。
シドニーは猛反対するが、クリフはそれならば一人で発表すると宣言する。
シドニーはクリフも殺すことを決意する。
そこへ、ヘルガが再びあらわれる。
入れ子式のメタ・ミステリー。
遺産と戯曲をめぐるサバイバル合戦になり、最後に笑うのは誰かと言うことだ。
マイケル・ケインのうるさいほどの好演が光る。
ほとんど一人芝居のようだった。
またダイアン・キャノンの馬鹿馬鹿しいほどの絶叫は映画の珍味になっていた。
ラジー賞ノミネートもなるほどと頷かせる。
ネタバレをするつもりはないが、ポーターはシドニーの相続人は一人いると言っていたはず。
相続人こそが最大の利益享受者ではないのか?
それともあれはウソだろうか?
舞台劇で舞台がほとんど自宅。
そしてたくさんの武器や拘束具が出てくる。
美術、とくに小道具さんの腕の見せ所だ。
監督 シドニー・ルメット
脚本 ジェイ・プレッソン・アレン
原作戯曲 アイラ・レヴィン
撮影 アンジェイ・バートコウィアク
美術 トニー・ウォルトン エドワード・ピッソーニ
音楽 ジョニー・マンデル
出演
マイケル・ケイン (劇作家)
クリストファー・リーヴ (若者)
ダイアン・キャノン (劇作家の妻)
アイリーン・ワース (霊媒)
ヘンリー・ジョーンズ (弁護士)
二人の関係が一目でわかる有名なシーン。

デストラップ 死の罠 1982 ワーナー

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