数年に一度の傑作。
犯人捜しではなく、少女暴行殺人事件が起きて何ヶ月も経ったところから始まり、警察と遺族の間で深い溝が出来てしまい、警察署長の自殺が発火点となり、大事件が勃発する。やがて警察をクビになった元捜査官と遺族がやり過ぎたと反省して、犯人捜しに協力するまでを描いている。結末は我々が考えなければならない。
監督はマーティン・マクドナー、主演はフランシス・マクドーマンド(二度目のアカデミー主演女優賞)、助演はサム・ロックウェル(アカデミー助演男優賞)、ウディ・ハレルソン(アカデミー助演男優賞ノミネート)。
あらすじ
ミズーリ州エビング(架空の町)。 アンジェラがレイプされ焼かれて殺される事件が発生して7ヶ月経過後、母親のミルドレッドは殺害現場に立つ3枚の広告板に「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」という広告を出した。
住民たちはミルドレッドに憤慨して、悪名高い警官ディクソンは怒り狂った。ウィロビーはミルドレッドに自分が膵臓癌の末期だと告白するが、彼女はそれを知った上で広告板を設置していた。
ディクソンはミルドレッドの友人であるデニスを逮捕した。ミルドレッドの元夫であるチャーリーは彼女に「アンジェラは殺される直前俺と一緒に暮らしたいと言ってきた」と語る。ミルドレッドは生前アンジェラに車を貸してと言われて断り、その上娘に「レイプされればいい」と言ってしまったことが心にトゲとして残っていた。
ミルドレッドの尋問中、ウィロビーは吐血し、病院へと搬送された。そして退院後に自殺した。
ディクソンはウィロビーの死に憤慨し、レッドを2階の窓から突き落とした。しかしアバークロンビー次期署長が全てを目撃していて、即刻解雇される。その夜、3枚の広告板が全焼してしまう。
夜の警察署でディクソンは彼に残されたウィロビーの遺言を見つけた。そこにはディクソンが良い警官になるためには寛大になるべきことが書かれていた。それを読んで改心したディクソンはアンジェラ事件の洗い直そうと決心した。
ところが警察が裏で手を引いていると勘違いしたミルドレッドは警察署に放火した。ディクソンは大火傷を負いながらもアンジェラの事件の資料が燃えるのを守った。
一方、ミルドレッドのもとにもウィロビーの遺言が届けられた。彼は広告板の維持費として彼女に大金を贈った。広告板はもう一度張り直された。元夫のチャーリーが広告板は自分が燃やしてしまったとミルドレッドに告白する。ミルドレッドはチャーリーを責めることなくワインを贈り、その場を去った。
ディクソンがバーに入ると後ろで男がレイプして燃殺したことを自慢げに話していた。ディクソンは男がアンジェラを殺した犯人だと推測し、DNAを採取することに成功した。
ディクソンはミルドレッドに容疑者のことを話し、二人は和解した。ところが、DNA鑑定の結果その男は関係がなく、アンジェラが殺された時には軍務でイラクの国にいたことがわかる。ディクソンは男がレイプ犯であることは間違いないためアイダホに行くと言うと、ミルトレッドも同行する。
雑感
傑作ハードボイルド映画だ。
犯人を捕まえられず終わる小説は良くあるが、そういうものはたいがいモヤモヤした感じが残る。
しかしこの作品は、未完ながら前向きなすがすがしい終わり方をする。
ただし、少々アメリカ的楽天的な脚本と言える。
どうして警察は警察火災を捜査してミルドレッドを逮捕しないのか?片手落ちというのなら、看板放火犯のチャーリーも逮捕すれば良い。
スタッフ・キャスト
監督 マーティン・マクドナー
製作 マーティン・マクドナー 、 グラハム・ブロードベント 、 ピート・チャーニン
製作総指揮 ダニエル・バトセク 、 ローズ・ガーネット 、 デヴィッド・コス 、 ディアマド・マッケオン 、 バーゲン・スワンソン
脚本 マーティン・マクドナー
音楽 カーター・バーウェル
配役
ミルドレッド・ヘイズ フランシス・マクドーマンド アカデミー主演女優賞(2度目)
ウィロビー署長 ウディ・ハレルソン
ジェイソン・ディクソン サム・ロックウェル アカデミー助演男優賞
元夫 ジョン・ホークス
ジェイムズ ピーター・ディンクレイジ
ロビー・ヘイズ ルーカス・ヘッジズ
レッド ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ