ルーベン・マームリアン監督でお送りするフレデリック・マーチ主演の「ジキル博士とハイド氏」。その後、何度かリメイクが作られるが、記念すべき第1作が、原作小説を最もわかりやすくショッキングに映像化している。あの変身シーンはなかなかわからなかったそうである。
ジキル博士は医学界の風雲児、常に先輩をあっと驚かせるような危険な研究を発表している。
ジキル博士はカルー将軍の娘ミュリエルと婚約している。すぐにも結婚したいが、将軍のお許しが出ない。若いエネルギーの迸りを抑えきれず、全精力を研究に振り向ける。
ジキル博士は従来から人間は善と悪の二面性を持っており、一方だけを引き出すことが可能と主張していた。しかし古い教授からはそのようなことはできるわけがないと笑われていた。
ジキル博士は自身を使った人体実験の結果、ハイド氏という自分の持つ二重人格の片割れを作り出すことができた。ハイド氏は猿のような原始的な顔をしており、凶暴な人格と人並み外れた運動能力を持っている。
カルー将軍は娘の説得に敗れて、ついに結婚を許す。ジキル博士はパーティーに呼ばれて有頂天になっていたが、公園で鳥を猫が食べるという弱肉強食シーンを見ていて、気がついたらハイド氏に変身していたのだ。ハイド氏は下町の美人歌手アイヴィーの部屋に行き、強姦殺人を犯す。
さらに ミュリエルに婚約破棄の謝罪に赴いた際、ミュリエルの悲しげな様子を窓越しに見ていて、再びハイド氏に変身してしまう。カルー将軍を殺し、警官隊に追われて自分の屋敷に逃げ込むが、友人ラニョン博士に全てばれていた。
後世の「ジキル博士とハイド氏」と比較すると女優は地味だ。ミリアム・ホプキンスも1930年台前半が映画界でのピークだったし、ローズ・ホバートも若い頃仕事には恵まれなくて脇にまわってから人気が出た。。
それと比べてフレデリック・マーチはトーキー向けの2枚目コメディ俳優だったのに、「ジキル博士とハイド氏」で演技開眼して1回目のアカデミー主演男優賞を獲得する。(2回目は「我らが人生最良の年」) 舞台でも活躍し、トニー賞も2回受賞している。
演技に貪欲で役柄に口を出すため、映画会社を転々とし、リベラルで硬派の俳優だった。
監督 ルーベン・マムーリアン
原作 ロバート・ルイス・スティーヴンソン
脚色 サミュエル・ホフェンシュタイン 、 パーシー・ヒース
撮影 カール・ストラッス
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出演
フレドリック・マーチ (ジキル博士とハイド氏)
ミリアム・ホプキンス (アイヴィー)
ローズ・ホバート (ミュリエル)
ホームズ・ハーバート (ラニャン博士)
ハリウェル・ホッブス (カルー准将)