1988年、オランダ映画祭で最優秀作品賞を受賞したサイコ・サスペンス。
レックスとサスキアは休暇で向かったが、サスキアは姿を消す。
以降3年間彼女の行方を捜し続けているレックスに犯人から手紙が届く。
出演はベルナール・ピエール・ドナデュー、ジーン・ベルヴォーツヨハンナ・テア・ステーゲ
監督はジョルジュ・シュルイツァー

2019年に初めて日本で劇場公開された。
1993年に公開されたハリウッド映画「失踪」は本作のリメイク。

あらすじ

オランダ人レックスとサスキアのカップルは、7月ツール・ド・フランスが開催される頃、田舎へ旅行する。
トンネルを通っている最中、サスキアは金の卵の夢の話をする。
そしてサスキアはドライブインで、「買い物をする」と言って出かけた。いつまでも帰ってこないサスキアをレックスは心配し探し回ったが、それ以来、サスキアは忽然と姿を消してしまった。

過去に戻り視点が変わり、妻子持ちのレイモン大学教授は、女性誘拐計画を立てていた。
彼は山荘を購入し、家族と食事をとると長女が蜘蛛を見つけて、悲鳴を上げる。
翌日、レイモンは山麓の老人の元により、悲鳴が聞こえなかったか、確認する。
また、クロロホルムを使って気を失う実験の被験者になって見る。
次に女性をナンパして車に乗せようとするが、知り合いに声を掛けてしまい、サービスエリアで声を掛けると効果的と教えられる始末である。それでサスキアと出会ったのだ。

サスキアが失踪してから3年後に時間は飛ぶ。レイモンは街中でサスキアの写真が貼られた誘拐ポスターを見かける。レックスにはすでにリーネケという新しい恋人がいたが、サスキアの失踪事件に囚われていた。レックスは自費でサスキアの捜索を続けるが、彼が借金までしていることを知ったリーネケは愛想を尽かしてしまう。

ある日、突然レイモンが現れ「真相を教えよう」と言う。
2人はフランスに向かう。レイモンは、反社会性パーソナリティー障害だった。十数年後、彼は「殺人以上に残酷な行為」を考え出す。しかしそのためには女性をナンパしないといけない。そこでレイモンは「骨折した振りをして女性に介助させる」というアイデアを思いつく。

そして、売店に来たサスキアと出くわす。レイモンは彼女を車に乗せ、クロロホルムで気絶させる。
レイモンはサスキアを誘拐したドライブインに車を停め、水筒に入れていたコーヒーをレックスに差し出します。「それには睡眠薬が入っている。サスキアのことを知りたければ飲め」。レックスは誘惑に勝てず、意を決してコーヒーを飲む。
しばらくして、目を覚ましたレックスは全ての真相を悟る。彼は棺桶に入れられ、生き埋めにされていた。叫んだが誰にも声は届かない。

雑感

度肝を抜かれるほどの映画ではない。犯人を捜している側がいささか狂っていたのだ。

この作品は犯人を捜すミステリーではない。犯人の犯行から始まる倒叙ミステリーとも言えない。
主人公は犯人と言える。そして最後にまた一人、彼の犠牲になるのだ。
サスキアが消えた謎に取り憑かれたレックスは最後に謎の答が分かって、彼は幸せだったかも知れない。
彼がそうなるのを選んだのだから。

普通の作品だと、警察にお願いして解決するが、実際には別件逮捕して自白させるしかない。
この作品の方が真実味があるかも知れない。

スタッフ

監督・脚本 ジョルジュ・シュルイツァー
製作 ジョルジュ・シュルイツァー 、 アンヌ・ロルドン
原作 ティム・クラッベ
撮影 トニ・クーン
音楽 ヘンニ・ヴリエンテン

 

キャスト

レイモン  ベルナール・ピエール・ドナデュー
レックス  ジーン・ベルヴォーツ
サスキア  ヨハンナ・テア・ステーゲ
リネケ   グウェン・エクハウス

 

 

ザ・バニシング〜消失〜 Spoorloos 1988 オランダ・フランス製作 アンプラグド2019年国内配給

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