題名の意味は避暑地や郊外で行われる、夏期だけの特別公演である。
ジュディ・ガーランドは独身の農場主の役で、夏の公演にやって来た演出家役のジーン・ケリーと結ばれる話だ。
ジュディが麻薬中毒のせいでウェイト・コントロールに失敗して、おそらく15キロから20キロ・オーバーの巨体で現れる。映画が進むに従って、次第に理想体重に近づける様子を楽しむ映画だ。興行収入は非常に悪かったが、映画自体の評価は悪くない。
ルイス・シネコンはかつて1930年代から1950年代にかけてMGMの親会社だった配給会社。おそらくあるシーンだけ撮影期間が必要以上にかかり配給予定が狂った(夏の映画なのに最終的に1月配給)ので、MGMが配給することができなかったのだろう。
監督はチャールズ・ウォルターズで、テクニカラー作品。
あらすじ
農場主ジェーンは女中エスメと郊外に暮らしていて、農協組合長の息子オービルと婚約している。夏の間だけ納屋を公演に使わせてほしいと妹アビケイルとその恋人ジョーの劇団がやって来る。姉は、恋人とブロードウェイでの女優を目指す妹の頼みもあって渋々許可を出す。
ところが厳しいジョーの演出に嫌気が差したアビゲイルと主演キースは、NYで仕事を得て逃げ出してしまう。開幕まであと3日というところでの主役降板だ。主演はジョーが代役するにしても、ヒロインは誰が?
そのときジョーは、アビゲイルの世話役をやっていて彼女の台詞をみんな覚えているジェーンに白羽の矢を当てた。急いで彼女を代役に仕立てて、舞台を開幕する。観客には評論家も混じっており、今やジェーンと愛し合うようになったジョーにとっても大切な舞台だった。
しかし女優の仕事に対して差別意識を持っている保守的なオービルはそれを許せず、アビゲイルをNYから連れて帰って来て、代わりにジェーンに役から降りるように懇願する。ジェーンは舞台途中で降りることを断固拒否する。アビゲイルも舞台で生き生きしている姉を見て姉の天職は女優だとわかり、オービルをブン殴るが、オービルはその一発でアビゲイルへの愛に目覚めるのだった。
楽曲
“If You Feel Like Singing, Sing” – ジュディ・ガーランド
“(Howdy Neighbor) Happy Harvest” – ジュディ・ガーランド
“Dig-Dig-Dig Dig For Your Dinner” – ジーン・ケリー
“Mem’ry Island” – グロリア・デヘブン、ハンス・コンリード (吹替ピーター・ロバーツ)
“Portland Fancy” –全員合唱
“You Wonderful You” – ジーン・ケリー、ジュディ・ガーランド
“Friendly Star” – ジュディ・ガーランド
“You Wonderful You” – ジーン・ケリー、
“All for You” (Chaplin) – ジーン・ケリー、ジュディ・ガーランド
“You Wonderful You” (Reprise) – ジーン・ケリー、ジュディ・ガーランド
“Heavenly Music” (Chaplin) – ジーン・ケリー
“Get Happy” – ジュディ・ガーランド◎
“(Howdy Neighbor) Happy Harvest” (finale) – 全員合唱
雑感
稽古が終わった後、床の軋みを気にすることからステップを踏み始める、5分超のジーン・ケリーのソロダンス・シーンは有名だ。
歌ではジュディ・ガーランドの「ゲット・ハッピー」が一番好き。おそらくこのシーンのみを収録後、時間が経った後撮り直したと思われる。というのも完全にダイエットが完了しているから。これ以外のジュディのシーンは全てオーバーウェイトである。
この映画の製作後、MGMはジュディ・ガーランドとの契約を打ち切る。いくら歌が素晴らしくとも配給予定の立たない女優は要らないということだ。
しかしジュディに麻薬を勧めて薬漬けの体にしたのは、他ならぬMGMである。必要なくなった俳優をポイ捨てする会社MGMが潰れても当然の報いだ。
スタッフ・キャスト
監督 チャールズ・ウォルターズ
製作 ジョー・パステルナーク
脚本 ソイ・ゴンバーグ、ジョージ・ウェルズ
原作 ソイ・ゴンバーグ
撮影 ロバート・プランク
音楽 コンラッド・サリンジャー
作詞 マック・ゴードン他
作曲 ハリー・ウォレン、ハロルド・アレン
配役
農場主ジェーン…ジュディ・ガーランド
演出家ジョー…ジーン・ケリー
女優アビゲイル…グローリア・ディヘヴン
友人オービル…エディ・ブラッケン
女中マージョリー・メイン…エスメ
ジョーの友人ハーブ…フィル・シルバーズ
オービルの父…レイ・コリンズ