「Grantchester」邦題「グランチェスター 牧師探偵シドニー・チェンバース」第一シーズン(一回一時間で全6話だが第2話以外)を見た。
ホームズ、ポワロに続く新しい英国探偵という触れ込みでさんざんCMしていたからだ。
しかし思っていたのとは少し違った。
1953年ケンブリッジの南にある農村グランチェスター。ここの教会で自殺した弁護士の葬儀が若い牧師シドニー・チェンバースにより厳かに行われた。しかし共同経営者の奥さんが自殺した弁護士と不倫関係にあり、彼は何者かに殺されたと告白する。グランチェスター警察へ出向くが、担当のジョーディー刑事は忙しいといって相手にしてくれない。仕方なくシドニーは自ら捜査に乗り出す。
お話は何事にも好奇心旺盛な若い牧師シドニーが事件に首を突っ込んでしまうもの。その辺りはミス・マープルの乗りだが、違いはまだ若くて独身ということ。だから勢いでぶつかってうまく行くこともあるが、失敗もまた多い。失敗する辺りはモース主任警部の系統か。
さらに独身で長身だからもてもて。友人アマンダを愛しているが身分が違うため、友人以上の関係になれず、結局アマンダは他の男と結婚することになる。しかしシドニーはアマンダのことを諦めきれない。またドイツ人の未亡人ヒルデガルトとも良い雰囲気になる。一旦彼女はドイツへ帰国するが、またシドニーはグランチェスターに呼び寄せてしまう。さらにロンドンに遊びに行ったおりに酔った勢いで黒人ジャズ歌手と行きずりの情を交わし、自らの罪悪感から自己崩壊を起こしヒルデガルトに罪を告白するとあっさり振られてしまい、アマンダの自宅に乱入しては婚約者に投げ飛ばされる。ジャズとウィスキーを愛し、堕落しそうになるおよそ牧師らしくない牧師だ。
主演はジェームズ・ノートン(「高慢と偏見、そして殺人」の弁護士役)、自身も神学専攻だったが、のちに演技の道へ進んだ。若くて背の高い主人公というのは”Sherlock”のカンバーバッチ同様に英国のトレンドで、彼は現代でもモテモテだろう。
ジョーディ刑事役は全英ヒットチャート1位の経験もあるロブソン・グリーン。
使用人のマクグワイヤ夫人役はテッサ・ピック・ジョーンズ。
原作はジェームズ・ランシー。父親がカンタベリー大主教(英国国教会のトップ)だったということで宗教界の実情に詳しい。
シリーズは2014年に始まり、2016年4月までに第二シリーズが放送された。第三シリーズも製作予定だ。
本格派を期待していただけに肩すかしを食ったが、本国では好評なようだ。
第二シーズンではアマンダだけ出てくる。二人の関係が気になる。