タルボット・ジェニングスの原作をヘンリー・ハサウェイが監督した敵討ち西部劇。製作はハル・B・ウォリス
主演はジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、共演はマーサ・ハイヤー、アール・ホリマン

あらすじ

ジョン、トム、マット、バドは母親の葬式に出席するため、テキサスのある町に帰って来た。ジョンはビリー保安官からエルダー牧場が父エルダーからヘイスティングスが博打のカタに取り上げられたこと、父エルダーは半年前に何者かに殺されたことを聞かされる。四人が再会していると、差し入れだと言ってメアリーが訪ねてくる。彼女は野蛮な兄たちによって末弟バドが悪くなるのを見ていられなかった。未払債務を返済するために兄弟が町に向かうと、何故か町の人は債務が一銭も残っていないと答える。

ヘイスティングスはエルダー牧場を町の水力発電所にしていた。気の弱い息子デイブとともに暮らし、武器工場を建てて町で武器商人をしている。彼は殺し屋カーリーを呼び、エルダー兄弟を返り討ちに合わせようとしていた。ところがこのカーリーが使い物にならない。丸腰のジョンにバットで殴られて気を失ってしまう。

兄弟は牧場に行って牧場譲渡の経緯を聞こうとするが、息子デイブしかおらず怯えて答えられない。そこに正義感の強い副保安官のベンがやって来て、兄弟との間に一悶着おこす。ジョンは父の殺害にもヘイスティングスが関与していると疑いを持った。
その夜、ジョンは母親が老後を世話してもらったメアリーに形見の椅子を届けた。彼女は、兄弟が母に出した手紙を持っていた。母はその手紙を誇りにしていたが、手紙の中身は嘘八百だった。平和な町でそのような親不孝な兄弟に今更ヘイスティングス相手に騒ぎを起こす権利などありはしないと暗に非難したのだ。

兄弟たちの元にペコスの牧場主がやって来て、亡き母と馬の商談が進んでいたと言う。そこでジョンは母の代わりに200頭の馬をコロラドまで運ぶから取り分は50−50でどうかと尋ねた。そうして商談がまとまり、ペコスまで四人で馬を取りに行く。
ベンが調べたところによると、トムには殺人罪で指名手配がかけられていた。ビリー保安官はひとりで兄弟に会いに行ったが、ヘイスティングスは待ち伏せして背中から撃ってビリーを殺し、エルダー兄弟に責任をなすりつける。
兄弟たちは馬をコロラドまで運んでいる最中にベンと町の有志に囚われて牢獄に入れられた。夜間には保安官を慕っていた町中の男たちが牢獄を囲み出したので、被疑者の身柄を他の場所に移すことになった。
兄弟たちは町を離れたが、ヘイスティングスが殺し屋カーリーとと待ち伏せして銃撃戦となり、ジョンが応戦してカーリーら二人を射殺するがマットが殺され、バドも負傷する。ベンもヘイスティングスらに撃たれる。ジョンとトムは馬車を駆って町に戻り納屋に籠城し、医者を要求する。地方検事ハリーは要求を入れ、周りからヘイスティングス派を排除する。
夜になってから、籠城していた納屋からトムは抜け出し、息子デイブを捕えに行った。ヘイスティングスに撃たれながらも、トムはデイブを生捕にする。ジョンは真相を聞こうとデイブに迫ったが、ヘイスティングスは誤って息子を撃ってしまう。デイブは死ぬ前に、地方検事の前でエルダーを殺したのは父親だと告白した。ジョンは、ヘイスティングスの銃器店に単身乗り込み、火薬を撒いて飛び出し、外から何発かショットガンを打ち込むと、店はヘイスティングスと共に大爆発する。末弟は予断を許さない。トムも背中を撃たれて、予断を許さない。

雑感

相変わらず、はちゃめちゃな西部劇だ。
この映画で、ジョン・ウェイン扮する「ジョン」とその兄弟は善ではない。父親が殺された時に知らずに遊んでいた親不孝ものに正義はない。
かたやジェームズ・グレゴリー扮する実業家ヘイスティングスは町の近代化を推し進める有力者だ。博打打ちの飲んだくれエルダーと違って母ケイティは気の毒に思っていた。彼女自身が復讐を好まなかったから、町の住民も少々のことなら目を瞑ろうと心に決めていた。
一時はメアリーに諭されて、ジョンは復讐を諦めようとする。しかしヘイスティングスは、ケイティやジョンに対する後ろめたさから、切っ掛けさえあれば一気に決着をつけようと思っている。
そこに発生したのが、トムの指名手配である。その結果、保安官にも兄弟を町から排除する口実ができた。ヘイスティングスにもよその土地で人知れず彼らを始末する口実が生まれた。
しかしそこからはいつものジョン・ウェインだ。絶体絶命の状況から、丸腰でも、いつの間にか銃を手に取り、百発百中で死体の山を築く。

実はジョン・ウェインは肺がんに犯されて手術後の復活映画だった。だから歩みが変だったり、顔がムーンフェイスだ。アクションのキレも全くダメ。でも下の息子を撮影に連れてきて、まだ死ぬわけにいかないという思いを強くしたに違いない。

原作はマーロウ兄弟の実話に影響されている。

音楽はいつものエルマー・バーンスタインだ。主題歌から「大脱走」風だった。

スタッフ

製作ハル・B・ウォリス
監督ヘンリー・ハサウェイ
脚本ウィリアム・ライト、アラン・ワイス、ハリー・エセックス
原作タルボット・ジェニングス
撮影ルシアン・バラード
音楽エルマー・バーンスタイン

キャスト

長男ジョン・エルダー  ジョン・ウェイン
次男トム・エルダー  ディーン・マーティン
メアリー・ゴードン  マーサ・ハイヤー
三男マット・エルダー   アール・ホリマン
末弟バド・エルダー  マイケル・アンダーソン・Jr.
ベン副保安官  ジェレミー・スレート
武器商人モーガン・ヘイスティングス  ジェームズ・グレゴリー
殺し屋カーリー  ジョージ・ケネディ
モーガンの息子デイヴ・ヘイスティングス  デニス・ホッパー
保安官ビル・ウィルソン  ポール・フィックス
地方検事ハリー      シェリダン・オールマン

 

エルダー兄弟 The Sons of Katie Elder 1965 ハル・B・ウォリス製作 パラマウント配給

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