イギリスではアンデルセン原作でパウエル+プレスバーガー監督による傑作バレエ映画「赤い靴」(カラー)が1949年に作られた。それを受けてか、1951年にMGMはレスリー・キャロン(フランス人)を発掘してジーン・ケリーの名作バレエミュージカル映画「巴里のアメリカ人」が作られた。
対抗してRKOではサミュエル・ゴールドウィンがプロデュースし「ギルダ」「情欲の悪魔」のチャールズ・ヴィダーが演出して映画「アンデルセン物語」が作られた。
中身はアンデルセン役ダニー・ケイによる歌と、モダン・バレエの天才ローラン・プチの振付で彼の妻ジジ・ジャンメールのバレエを楽しめる上に、ジジがダニーと歌う曲もある。上記の他、演出家役でファーリー・グレンジャー(見知らぬ乗客、夏の嵐)が出演している。
あらすじ
アンデルセン本人が靴屋の息子でバレエ学校を中退後、大学で文学や哲学を学びながら各地を放浪して創作活動を行ったことからアイデアを採っているが、映画の内容はあくまで「フィクション」である。
靴屋を営むアンデルセンはお話のお兄さんとして子供たちに人気者だったが、教会や学校から疎まれて弟子のピーターとともに田舎から首都コペンハーゲンを目指す。
首都ではバレエ団お付きのシューメーカーとして採用される。そこでプリマバレリーナのドロと出会い、一目惚れしてしまう。それて書き上げたのが「人魚姫」だった。
しかし「人魚姫」を演出するニルスはドロの夫で、二人は愛し合っていた。結局、失意のまま、アンデルセンは故郷に帰ると、作家としてのの名声が鳴り響いて村人の大歓迎を受ける。
他にも映画の中で「雪の女王」「みにくいあひるの子」「親指姫」「マッチ売りの少女」など数多くのアンデルセン童話がエピソードとして使われている。
雑感
ジーン・ケリーのマッチョな魅力がたまらない人には「巴里のアメリカ人」が良いし、ダニー・ケイのソフトな歌声と洗練されたバレエが向いている人には「アンデルセン物語」が良いだろう。
スタッフ・キャスト
監督 チャールズ・ヴィダー
製作 サミュエル・ゴールドウィン
原案 マイルス・コノリー
脚色 モス・ハート
撮影 ハリー・ストラドリング
音楽 ウォルター・シャーフ
作詞作曲 フランク・ローサー
配役
アンデルセン ダニー・ケイ
ニルス ファーリー・グレンジャー
ドロ ジジ・ジャンメイル
ピーター ジョーイ・ウォルシュ
王子(バレエ) ローラン・プチ