「イルカの日」のモデルとなったアメリカのジョン・カニンガム・リリー博士(脳科学)がアイソレーション・タンク(硫酸マグネシウム感覚を遮断して瞑想状態に入るためのタンク)を開発したことに想を得て、イギリスの奇才ケン・ラッセル監督が撮ったSF作品。

主演はウィリアム・ハート、共演はブレア・ブラウン、ボブ・バラバン、チャールズ・ヘイド

 

あらすじ

エドワード(ウィリアム・ハート)は有能な精神心理学者。ハーバート大に就職が決まった彼は同じ大学のエミリー(ブレア・ブラウン)と結婚する。
数年後、彼は変性意識の実験に従事している。人類はサルからの進化によって生まれたが、細胞の記憶をたどることで人類誕生の心理に行き着くという説を研究していた。大学の同僚アーサー(ボブ・バラバン)とメインン教授(チャールズ・ハイド)の協力を得て、実験は進められる。一方、エドワードの気持ちが離れていくのを感じた人類学者のエミリーは娘を連れて、アフリカへ旅立つ。
メキシコ大のエチェンペリア教授の協力で麻薬を得たエドワードは、アイソレーション・タンクに入り、人類の発生時に意識を逆のぼり、遂に類人猿になる。タンクから飛び出した類人猿は動物園の山羊食い殺した後、エドワードの姿に戻る。彼はさらに意識を遡らせようとする。巨大なエネルギーの放出が始まり、水漕は大音響と共に爆発した。渦の中にエドワードは分子のスープとして吸い込まれる。エミリーがエドワードに手をさしのべるとエドワードは再形成される。しかしその夜、再び分子レベルに戻そうとする力がエドワードと彼に触れたエミリーも襲う。先に元に戻ることが出来たエドワードは、今度はエミリーを抱きしめて元の姿に戻す。彼は生命の根源を見たが、その真実は虚無だった。
 

雑感

 

現代版「ジキル博士とハイド氏」。もう少し現代科学の立場で作り直した方が良かったと思う。被験者を増やさなければ、あまり科学的と言えないSFだった。人間が変性意識の下で猿人に変身できるが、しばらくすると下の人間に戻ってしまうなんて、3分間しか変身できないウルトラマンみたいだ。

ジョン・C・リリーはLSDを使ってアイソレーション・タンクに入っていたので、トリップできて様々な経験をしたようだ。

 

スタッフ・キャスト

監督 ケン・ラッセル
製作 ハワード・ゴットフリード
製作総指揮 ダニエル・メルニック
原作 パディ・チャイエフスキー
脚色 シドニー・アーロン (パディ・チャイエフスキーが自ら脚色したが、ケン・ラッセルの演出が気に入らず、クレジットから降りた)
撮影 ジョーダン・クローネンウェス
音楽 ジョン・コリグリアーノ

配役
エディ   ウィリアム・ハート
妻エミリー  ブレア・ブラウン
同僚アーサー ボブ・バラバン
メイソン病院長 チャールズ・ハイド
エチェンベリア教授 ティオ・ペングリス
 

アルタード・ステーツ/未知への挑戦 1980 ワーナー・ブラザーズ制作・配給

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