アラン・ドロンの主演第五十回作品でジョンストン・マッカレイの原作小説「快傑ゾロ」の八回目の映画化。
製作はルチアーノ・マルティーノ、監督は「ビッグ・ガン」のドゥッチョ・テッサリ、脚本はジョルジョ・アルロリオ。
主演はアラン・ドロン。
共演はオッタヴィア・ピッコロ、スタンリー・ベイカー、エンツォ・チェルシコ、ムスターシュら。
あらすじ
剣豪ドン・ディエゴは南米カルタヘナで、スペイン領メキシコのニューアラゴン総督に任じられて赴任する途中の旧友ミゲルと再会する。その夜ミゲルは暗殺団によって殺されてしまった。ディエゴは暗殺団を成敗し、親友ミゲルの復讐のためにニュー・アラゴンへ代理で総督として赴任する決心をした。しかしディエゴはミゲルが死ぬ直前に不殺の誓いをしていた。
ニュー・アラゴンでは、ウエルタ大佐が軍隊を率いて悪政を行なっていた。ミゲル総督になりすましたディエゴは臆病者を演じて、唖の下僕ベルナルドを連れて情報収集に出かけた。そこで黒人の少年が、英雄ゾロの奇跡を教えてくれる。
町ではウエルタに買収された裁判官による裁判が行われて、ウェルタ政権に反発を抱く人々を有罪として、町外れの鉱山でタダ働きさせていた。
修道士フランシスコも軍に捕らえられた。貧乏貴族の娘オルテンシアは不当裁判と言って抗議した。突然、黒覆面の騎士ゾロが現われて、修道士を解放し裁判官や兵隊たちを嬲りものにすると何処かに消えた。
その後、ウェルタにオルテンシアが強引に迫られた時も、救ってくれたゾロに、ウェルタは恋心を抱いた。
ゾロは富裕な貴族や商人たちから財宝を盗み、貧しい人たちに恵んでやった。ウエルタは、義賊として崇められているゾロに対して、オルテンシアを牢獄に入れ、おびき出そうとした。しかし、ゾロは監獄内部にも現れて、オルテンシアを逃して教会に匿ってもらった。
ウエルタは何故ゾロに情報が漏れたか考えるうちに、総督にだけ作戦を知らせたことを思い出した。そこでウェルタは総督が情報元ではないかと疑った。ディエゴは、疑いを交わすために総督がいる場所に下僕ベルナルドにゾロの扮装をさせ登場させた。その上、自分を誘拐したかのように見せて鉱山の囚人たちを解放させた。しかし軍に追い詰められたゾロは馬車ごと崖から海へ転落してしまう。
仇敵を倒したウェルタは、オルテンシアとの結婚式を強行しようとした。しかし結婚式直前、教会にゾロが姿を現わす。怒ったウェルタは修道士フランチェスコを撃ち殺す。それでゾロは堪忍袋の尾が切れた。ゾロとウェルタの1対1の決闘が始まった。長い戦いは、ゾロが黒マスクをとりディエゴに戻った瞬間、ウェルタはディエゴの刃によって倒され、屋上から転落死する。使命を終えたゾロは馬を駆って草原へと消えた。
雑感
原作は1919年にアメリカ人作家ジョンストン・マッカレーによって書かれた、スペイン領時代のメキシコを舞台とする活劇小説。翌年ダグラス・フェアバンクス・シニア主演でサイレント映画化されたのが最初で、黒マスクの義賊の登場に世界的なヒットになった。
この「アラン・ドロンのゾロ」は、八回目の映画化にして初めてのイタリア・フランス合作映画で、マカロニ・ウェスタンである。主演はフランス人アラン・ドロンで、敵役はウェールズ出身の英国映画スターであるスタンリー・ベイカー。国際色豊かな配役で英仏伊で吹き替えて公開された。見たのは英語版だった。
アラン・ドロンの色気は蒸せてしまうほど感じられる。だがヒロインのオッタヴィア・ピッコロ(わが青春のフローレンス、家庭教師)のお色気シーンが全く無くて、男性客には物足りなかった。きっと女性客には喜ばれたんじゃないかな。
スタッフ
製作ルチアーノ・マルティーノ
監督ドゥッチョ・テッサリ
脚本ジョルジョ・アルロリオ
原作ジョンストン・マッカレー
撮影ジュリオ・アルボニコ
音楽グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
キャスト
ドン・ディエゴ(ゾロ) アラン・ドロン
オルテンシア オッタヴィア・ピッコロ
ウエルタ スタンリー・ベイカー
聾唖の下僕ベルナンド エンツォ・チェルシコ
ガルシア軍曹 ムスターシュ
友人ドン・ミゲル アドリアーナ・アスティ
フランシスコ修道士 ジャンカルロ・アルベルティニ
フォン・メルケル ジャコモ・ロッシ・スチュアート