北野武監督(脚本、編集兼任)が、金と権力のためならどんな手段も厭わない男たちの姿を暴く暴力映画。
主演北野武、共演國村隼、椎名桔平、加瀬亮、杉本哲太。
三浦友和、加瀬亮ら、北野作品初出演となる俳優たちの悪党ぶりが見ものである。
あらすじ
関東山王会若頭加藤は同会会長の関内の意向を汲んで村瀬組を壊滅させようとする。池元組長と村瀬組長は兄弟分の杯を受けていたが、池元組系の大友組が村瀬組の縄張りに進出して対立する。両軍に死傷者を出したところで、山王会そして警視庁のマル暴刑事片岡が大友大学の後輩である縁で池元組と村瀬組は手打ちをする。
しかし彼らが縄張りに麻薬を流したことを聞きつけ、池元は大友に村瀬らを始末させて組を壊滅させる。しかし関内は池元に大友を破門させてしまう。
大友は治外法権である、アフリカの小国大使館で石原の仕切りにより闇カジノを開き大儲けをするが、池元が入り浸ってからは閑古鳥が泣いている。破門にしてもなお、入り浸る池元に切れた大友は池元を暗殺してしまう。挙げ句の果てに山中で大使に死体を埋めさせる。
これに対して怒った関内は、池元組の若頭小沢に組を継がせると約束して、大友組の全滅を図る。ついに大友だけが生き残ったようだ。観念した大友は片岡に逮捕されて、刑務所暮らしになる。
小沢は晴れて関内の杯を受けるが、加藤は小沢と関内を射殺し、二人が撃ち合って死んだと見せ掛ける。
一方、刑務所で暮らす大友だったが、村瀬組の若頭だった木村が移送されていて、大友を背後から刺し殺す。
今や関内の島を受け継いだ加藤の元に、片岡が警部昇格の挨拶と後任の引き継ぎにやって来る。加藤の傍には元大友組だった石原が控えていた。
雑感
北野武らしさ満点だが、あまり面白くなかった。やはり私は北野監督と合わないようだ。
しかし低予算なのだから、贅沢は言えない。
個々の犯罪について誰が犯人かは誰でもわかるが、それでも警察の手前、硫酸で溶かすかコンクリートに漬けて沈めるだろう。山に埋めたぐらいでは、野犬が掘り出す。これではあまりにも荒唐無稽だ。
誰が被害者になるかについても「こいつ地雷踏んだな」と分かるシーンがてんこ盛りであり、誰が殺されるかも簡単に分かる。
しかし一番悪そうな加瀬亮が生き残ったのは気付かなかった。三浦友和と小日向文世、加瀬が裏で共闘して、池元組の同士討ちと山王会の世代交代を仕掛けたと言うことだな。
ED以外は映画音楽らしい音楽があまり聞こえてこない。全く音楽がかからないわけではないが、サントラで商売する気はなさそうだ。
スタッフ
監督・脚本 北野武
編集 北野武 、 太田義則
音楽 鈴木慶一
撮影 柳島克己
大友組組長衣装 山本耀司
プロデューサー 森昌行 、 吉田多喜男
キャスト
オオトモ(組長) 北野武
カトウ(山王会若頭) 三浦友和
ミズノ 椎名桔平
イシハラ 加瀬亮
イケモト組長 國村隼
オザワ(イケモト組若頭) 杉本哲太
イイヅカ(チンピラ) 塚本高史
ムラセ組長 石橋蓮司
カタオカ刑事 小日向文世
カンナイ(山王会会長) 北村総一朗
キムラ(ムラセ組若頭) 中野英雄