上巻に続き、終戦後からフランス逃亡を経て、高峰秀子が結婚する昭和30年までのお話。
昭和24年ごろの写真はなまめかしい。色気づいたのであろう。実際つきあってた人が、いたようだ。
折り合いの悪い義母や、恋人と別れたくなり、映画「カルメン故郷に帰る」の撮影が終わるやいなや、一人でフランスへ旅立つ。すっかり日本での生活を清算したかったのだ。
しかし日本に帰るや、また仕事に追われる毎日。今どきの女性と変わらず三十歳までに結婚したいと焦っていた。そして木下恵介監督の映画「二十四の瞳」の撮影で知り合った脚本家松山善三と仲良くなり婚約する。成瀬巳喜男監督の映画「浮雲」の撮影が終わると、二人で質素な結婚式を挙げた。やはり高峰秀子ほどの女性でも結婚はタイミングが重要なのだ。
しかしこれが女優の筆致か。うますぎる。ちょっと自虐的で、照れ隠しで舌を出している。彼女の演技その物だ。
女優の自伝として読み始めたが、いくらでも読み続けていたい本だ。
映画化してくれないだろうか。
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