夢のような本だ。
「ああ、あったあった、おいおいおい、そうだったよ」と、涙してしまう内容が続く。昭和30年から40年代に掛けて、小学校で誰もが持っていた道具、おもちゃ、さらに様々な事件、体験を思い出させてくれる。
作者は僕と同じ歳で、千葉県生まれだ。彼は綿密なアンケート調査と、当時の人たちのインタビューを元にして、この労作をまとめた。
既に高度成長時代だったため、呼び方などを除いて全国共通の事象は多い。たとえば、学校帰りの駄菓子屋の話。ひも付きのアメがあった。好きな紐を引っ張ると、たまに当たりが出る。妖怪煙は、指に付けて擦ると、煙が出るだけのおもちゃ。ヌンチャクも売っていた。ベビーラーメンは今でもあるが、当時はパンチコーラも流行っていた。
校門前に怪しい行商人も来ていた。たまにひよこや亀を売っていて、子供たちの輪が出来た。
学校前の文具店は、今でこそコンビニに取って代わられたが、我々の時代には無くてはならない店だった。糊とか、三角定規とか、ノートだとか買った覚えがある。
筆箱にも思い出がある。アーム筆入れやロータリーロック筆入れ、さらに高学年になると、カンペンケース。
鉛筆の話もちょっとやそっとでは終わらない。芯の先だけ取り替えるカラーペンシル。ハーモニカ、検便やこっくりさんの話・・・。
構成としては、自分の思い出を語って、それからアンケート結果を紹介し、興味ある謎にぶつかったら、当時の事情を知る人にインタビューしてる。この繰り返しなのでワンパターンだが、読んでいて飽きない。自分はどうだったろうかと、振り返って考えちゃうので、読むスピードは遅い。自分の小学校時代の思い出が詰ってる、素晴らしい本だ。
40代以上の人は、「我が家に一冊」(笑)。
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