藤田進が自ら惚れ込んだ芥川賞作家寒川光太郎原作の映画化権を買い取り、新東宝に売り込んだ作品。俳優座が協力している。

 

大正期の北海道、丹次は息子と二人でつましく暮らしていた。
漁師の豊吉の家に脱獄犯が侵入し、豊吉を射殺して山に逃げる。
しかし動物用の罠にかかったところを丹次に見つかり御用となる。
丹次は池谷巡査から表彰される。
豊吉には娘はつ子がいたが、なついていた丹次のところに引き取られる。

はつ子は美しい娘に育つ。
しかし彼女を狙う部落総代は、いろいろと嫌がらせを仕掛けてくる。

 

いまから見ると何がしたかったのだろうと思う作品。
素朴な北海道の大自然とガンアクションで見せたかったのかな。
時代を考えると、日本版西部劇だろう。

しかし最後に藤田進と東野英二郎が向かい合って打ち合うシーンはあまりどきどきしない。
藤田進の熱意が中川監督にうまく伝わらず、原作の良さを生かし切ったとは言えないと思う。

 

監督 中川信夫
原作 寒川光太郎
脚色 八木隆一郎
撮影 河崎喜久三

 

配役
藤田進 (百姓丹次)
安西郷子 (猟師の娘はつこ)
東野英治郎 (巡査池谷)
稲葉義男 (脱獄囚)
永田靖 (部落総代)
左ト全 (部落民)

ほらふき丹次 1954 新東宝

投稿ナビゲーション