原作は心理的推理小説の代表格。地味な作りだが、ファンが多いと聞く。
—ネタバレ注意。
ドラマもはじまって一時間程度はなかなか快調だった。
レイス大佐ならぬヒューズ大佐が捜査活動に加わり、ずいぶんと厚みを増した。
ウィラー警視のキャラが、原作(バトル警視)の無表情な鉄仮面とは違っており、脚本家の仕組んだ罠を予感させる。
◇
しかし脚本家は終盤に来て、失敗した。
クリスティが完璧なものを作ってしまったから、少し触っただけで、おかしなものになってしまった。
そもそもの原因は、ミス・バージェスの美しさにある(笑)
さらに不思議なのは、容疑者四人組を(死刑になる犯人以外)生き長らえさせたことだ。
こういう脚本にしなければならない理由はどこにあったのか?
不謹慎だが、一人ぐらいは死んだって良かったんじゃないのか。
故殺だった一人を除いて、謀殺者は結局殺されるというのが、原作のオチだった?と思う。
それに、その方が容疑者の数を減らせる。
♥
出演
ポワロ デビッド・スーシェ 熊倉一雄
ミセス・オリヴァー ゾーイ・ワナメイカー 藤波京子
(「ハリー・ポッターと賢者の石」のミス・フーチ)
「予告殺人」レティシア役に続くクリスティドラマ登板である。オリバー夫人は準レギュラーだけに、彼女に限っては今後も固定されるかもしれない。
シェイタナ アレクサンダー・シディグ(「スタートレック」)
さっさと殺すには惜しい存在。でもシャイタナさんではなかったの?
ドクター・ロバーツ アレックス・ジェニングス 江原正士
(「鳩の翼」、「真夏の夜の夢」のオベロン、「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」)
もっとも怪しい容疑者だが、その怪しさを最初にもう少し強調すべきだった。
ロリマー夫人 レスリー・マンヴィル 田島令子
ロリマー夫人は老け役である。田島令子の声のイメージとは少し離れていた。さらにこのドラマでは最後まで生きている。(田島令子の声が聞けたことは非常に喜ばしい。)
メレディス リンゼイ・マーシャル
この人は相当な実力派女優だろう。しかしデスパードが惚れるような野性的な人間には見えなかった。演出ミスだ。
ウィーラー警視 デビッド・ウェストヘッド 辻萬長
原作では、クリスティの重要な探偵バトル警視だった。しかしこのドラマのオチは彼である。
デスパード少佐 トリスタン・ゲミル 池田秀一
原作でも二枚目だった。
ヒューズ大佐 ロバート・ピュー (「予告殺人」イースターブルック大佐)
原作では「ナイルに死す」にも登場したレイス大佐。本業のスパイ活動が忙しくて、さっさといなくなるはずだったのだが、このドラマでは最後まで付き合ってくれる。
ラクスモア夫人 コーデリア・ブゲジャ
この女優は非常な美人なのに、出番が少ない。残念。
ミス・バージェス(ロバーツ医師の秘書) ルーシー・リーマン
この女優もなかなかの美人である。さらに出番も多い。そのことが犯罪を解く鍵になっている。
ローダ・ドーズ ハニーサックル・ウィークス
女優はあまり美人ではなかったので、原作のイメージが大きく狂った。そのうえ最後は・・・
脚本ニック・ディア
演出セイラ・ハーディング
☆
前半だけでも楽しませてくれたから、よしとしよう。
いまのクリスティ・ドラマでは、同性愛が必ず犯人に繋がる(笑)
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!