三人娘が銀幕で初顔合わせした作品。ミュージカルと言ってよいほど、三人がジャズやポップスを歌いまくる。映画は東宝の1955年興行収入トップだそうで、気を良くした東宝は翌年と翌々年に三人娘映画第2弾、第3弾を上映した。

美空ひばりは1937年5月生まれだから18歳、江利チエミ、雪村いづみは早生まれで学年は上だが同じ歳だった。しかしすでにひばりは単独出演を多くこなしていたから、初の東宝映画でもまるで座長をこなしているように見えた。

あらすじ

高校の同級生ルリと由美は京都に修学旅行に出掛けて、舞妓の雛菊と出会う。
帰京したルリたちの元に雛菊が単身上京する。今度、旦那が付いて芸妓になるのだが、その前に好きだった学生と一目で良いから再会したいと言うのだ。
それで三人は東京中の大学を探すが、なかなか見つからない。仕方なく由美と雛菊は伊豆の温泉へ遊びに出かけると、知り合いの大学生斎藤とばったり出会う。彼こそが雛菊の好きな人であった。しかし斎藤にはまだ結婚する気はなかった。そこで金持ちの親に無心して、水揚げ代を出してもらって、雛菊を自由の身にしてあげる。

一方、ルリの父北島が母お信の前に十数年ぶりに現れる。母は芸者出身である。北島の世話になってルリを産んだが、そのことが正妻にバレて母と父と泣く泣く別れたのだ。
しかし最近、一人息子を失ったことで正妻の気持ちが大きく変わって、北島がフランスへ転勤になる前にルリと会いたいと言いだした。
お信はルリの北島へのお披露目に日本舞踊の会を開くことを思い付く。ルリに告げると、彼女は驚いていたが、母のために一生懸命踊ることを誓う。
そして会で見事な踊りを披露された北島夫妻は、ルリを気に入り養子としてもらいたいと言う。それにはルリは父に感謝しながらも、きっぱりと断るのだった。

雑感

斉藤役の山田真二はいづみ(雛菊役)を最初に気に入っていたが、チエミ(由美役)と会って気変わりを起こす。ところがいづみが山田真二を追って東京に出てきたから、さあ大変。チエミに振られた山田真二は、花柳界と結婚しないと言う家訓に従って、いづみとの関係をお金で清算してしまったw。これはハッピーエンドなのだろうか。何かモヤモヤする。

昭和30年当時の100万円が現在は2000万円とか1500万円の価値があると言われている。(昭和39年で1000万円) 雛菊は買われた後、旦那への詫び料と置屋に対する借金の返済、東京への移籍代を払ってチャラだろうな。これからはフリーの芸者として東京で働くのだろうが、楽な商売ではないぞ。

一方、ひばり(ルリ役)の父娘の名乗りについてのエピソードは、人情噺で泣かせてくれた。浪花千栄子(お信役)の演技が手堅かった。正妻役の一ノ宮あつ子が妙に物分かりがいいのが気味が悪かったが、北島役の高田稔が最後に物を言いたそうなのに、チエミといづみが楽屋に乱入してオチをつけた。

ラストのジェットコースターで4曲を歌うシーンは現在は東京ドームになった後楽園遊園地のものだろう。あれは壊れそうで怖かった。ただし三人はスタジオで収録してその背景に合成している。

スタッフ

監督 杉江敏男
製作 杉原貞雄 、 福島通人
原作 中野実
脚色 八田尚之
撮影 完倉泰一
音楽 松井八郎

 

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キャスト

ルリ 美空ひばり
由美 江利チエミ
雛菊 雪村いづみ
お信 浪花千栄子
斎藤又兵衛 山田真二
森政治 江原達怡
北島 高田稔
北島夫人 一の宮あつ子
由美の父 小杉義男
由美の母 南美江
おいね 沢村貞子
亀沢先生 岡村文子
桑原先生 瀬良明
踊りの師匠 塩沢登代路

ひばり・チエミ・いづみの ジャンケン娘 1955 東宝制作・配給 歌の中から飛んで出た七色の甘い恋

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