約25年ぶりに見た。
ずいぶん、あらすじを間違って覚えていたが、今もやはり感動作だった。
日本映画では一、二を争う青春映画だ。
原作は「転校生」と同じ山中恒の児童文学。
高校二年のヒロキは近くの女子校に通う女子高生の「別れの曲」をピアノで弾く姿をファインダーから覗いていた。その娘に恋してしまったヒロキは、ひそかに「さびしんぼう」という名前を付ける。
その頃からヒロキの住む寺に不思議な女の子が出没するようになる。
ピエロの格好をした彼女は自らを「さびしんぼう」と名乗る。
はじめ、そのピエロの姿は誰にも見えなかったが、やがてみんなが奇異な姿を目にするようになる。
人のことを馬鹿にするので母が頬をぶつと、何故か母は痛いと声を上げる。
ある日、ヒロキはぶらぶらしていると、ピアノの彼女が道にうずくまり困っている。
自転車のチェーンが壊れて途方に暮れていたのだ。思わず声をかけたヒロキ。彼女は橘百合子と名乗り、彼女を家へ送り届けるまで楽しい時を過ごす。
翌朝、早起きして彼女を待ち伏せしていたが、なぜか彼女は昨晩とは全く違い、無視される。
初めて見たときは、さびしんぼうが母親の若い頃の姿だと気がついたのは、映画のずいぶん後半だった。
今から見ると、どうしてこんな簡単なこともわからなかったのかと思う。
ラストシーンがハッピーエンドだということもすっかり忘れていた。
また百合子の気持ちは、大人になってから、良くわかるようになった。
ヒロキと百合子が結ばれるまで、紆余曲折があったことも。
さびしんぼう 1985 東宝