昭和初期の旧制中学を舞台に喧嘩に明け暮れる青春を描いた。
高橋英樹、浅野順子主演。
新藤兼人が脚本を書いている。
高橋英樹は岡山二中で配属将校佐野浅夫の逆鱗に触れてしまい、先輩川津祐介、愛しの浅野順子とも離れて、ただ一人で会津若松の喜多方中学に転校する。
しかし今度は会津中学の白虎隊から付け狙われる。
決闘の場は会津鶴ヶ城。
多勢に無勢で高橋英樹ら喜多方中学有志は囚われの身になるが・・・
クレジットとあらすじ
鈴木清順監督の天才ぶりを遺憾なく発揮した初期傑作。
昭和40年代に入っても未だ白黒映画である。
録音が非常に聞きにくかったが、編集は大変面白かった。
ヨーロッパ映画を見ているようだった。
日本ではまだこういう大胆なカット割りは少なかったと思う。
鈴木清順と今村昌平は同じ日活で監督デビューもあまり変わらない。
今村はすでに評価は高く、この年小沢昭一主演で「エロ事師たち」を取っている。
ドキュメンタリータッチでねばっとした作風が今村の持ち味。
カンヌ映画祭でも二度グランプリを獲得している。
それと比べて、鈴木は一年四本ぐらいのペースでプログラムピクチャーを10年ほど取っていた。
でもその作品群の評価は非常に高い。
そして清純美学を結晶させたような「ツィゴイネルワイゼン」を撮り、日本アカデミー賞に輝く。
鈴木はこのように泉鏡花的世界へ入っていったが、外人にはわかりにくかったのではないか。
一方、今村の湿度感覚は独特だ。
これをヨーロッパ人は日本的と感じたのだろう。
浅野順子はgooによるとこの作品しか映画出演はないようだ。
クレジットにクラウン所属とあったから、歌手なのかな。
と思ったら、何とアイドル歌手で現大橋巨泉夫人だとさ。
テレビドラマDBでも二作品しかない。
好みのタイプではなかったが、結構印象に残った。
大橋巨泉の嫁さんになるぐらいだから、ただ者ではあるまい。
また高橋英樹の父親役恩田清二郎がよかった。
理想的な父親だ。
戦前から映画には出ていたが、テレビに出たため、一時期映画界を離れていた。
この映画が最後の作品であり、テレビもこの年以来出演はない。
永遠のセルマ・リッター
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