山本周五郎の原作小説を新藤兼人が脚色し、「花影」の川島雄三が「カリブ風」に監督した傑作風俗喜劇映画。撮影もコンビの岡崎宏三
主演は森繁久彌、共演は東野英治郎、加藤武、桂小金治、市原悦子、左幸子
カラー映画

 

 

雑感

舞台は浦粕町だが、昔の浦安町をモデルにしている。昭和初年の浦安は貧しい漁村だった。現在の浦安は1981年に市に昇格し、いまやディズニーランドのおかげで日本一豊かな自治体である。
当時まだ作家として不遇だった山本周五郎は、1926年から1929年まで浦安町で暮らしていた。その間に町で起きた30ほどのエピソードを、大作家になってから1960年に発表して1961年に文藝春秋社から連作小説として発売してヒットした。


映画では,原作と設定を変えて、昭和30年代後半の高度成長期に入りつつある頃に置き直され、当時大きくなり始めた千葉県の京葉工業地帯の話題が上っている。
東京の華やかな街で遊んでいる間に、文章のネタが尽きた主人公「先生」は庶民の姿を求め、戦前の雰囲気が強く残る浦粕の地に落ち着く。そこで体験したいくつもの庶民的エピソードが彼に刺激を与えるのだ。
BGMでイタリアやギリシャの海洋映画で流れるような音楽を池野成は採用している。老いて盛んな漁師町「浦粕」をイメージさせるにはぴったりだった。

園井啓介は、当時はフリーだった。この映画の製作直後に松竹と契約した。

 

キャスト

森繁久彌  先生
山茶花究  増さん
乙羽信子  きみの
東野英治郎 老漁師の芳爺さん
加藤武   消防団長・わに久
中村是好  散髪屋の浦粕軒
桂小金治  天ぷら屋勘六
市原悦子  女郎上がりで勘六の妻あさ子

南弘子  繁あね
丹阿弥谷津子  繁あねを捨てた母お定
左幸子  娼婦おせいちゃん
都家かつ江  売春宿「ごったく屋」のおかみ
フランキー堺  味噌屋の五郎ちゃん
千石規子  五郎ちゃんの母
中村メイコ  五郎ちゃんの第一の花嫁
池内淳子  五郎ちゃんの第二の花嫁
園井啓介  若い警官
左卜全  老船長
井川比佐志  偽装心中の相手・倉なあこ
東野英心  倉の弟分・忠なあこ
小池朝雄  養殖貝の泥棒
名古屋章  養殖場の看視人
立原博  関西からのセールスマン
丘寵児  すし屋の主人

 

 

 

スタッフ

製作  佐藤一郎、椎野英之
原作  山本周五郎
脚色  新藤兼人
監督  川島雄三
撮影  岡崎宏三
音楽  池野成

 

 

 

あらすじ

最近(1962年)になって東京都と千葉県の境に京葉工業地帯が出来て、トラックの交通量が増えている。
「先生」と呼ばれる三文文士はスランプに陥り東京から逃げ出した。そして千葉県との県境を越えて江戸川の河口を逍遙していると、時代から見放されたような古びた漁師町を発見した。
先生は老漁師芳爺から、青べか舟(青ペンキで塗られた小さな釣り船)を売りつけられる。彼は何か文章のネタが拾えるかも知れぬと思い、当分の居を増さんの家の二階に間借りすることに決める。そこには美人の奥さんがいるが、足が悪くて口を滅多に聞かない。

住み着いてすぐ、幼い弟を育てる乞食娘の繁姉と仲良くなる。彼女の父親がいなくなり、やがて幼い子を産んだ母親も子供たちを放り出して新しい男の許に去ってしまったと芳爺が先生に教える。
後に母親が男と別れて戻ってくる。母親を恨む繁姉は母親を拒絶し、優しく話をしてくれた先生にだけ挨拶して浦粕から消えてしまう・・・。

先生は、この地区で他人の妻と寝ることに寛容である事に気付く。町には「ごったく屋」という小料理屋の看板を出している娼家があった。その中でも「澄川」のおせいを気に入っていた。だが、おせい一人ではなくおきんとおかつも付いてきて部屋を空ビンで埋め尽くしてしまうため、大した散財となる。

浦粕にはみそ屋があり、大人しい息子にやっと花嫁が来たが、手も握らせないまま離婚されてしまう。五郎はインポらしい、と芳爺や消防署長のわに久、天ぷら屋の勘六夫婦らが言いふらす。その後、北海道から新しい花嫁を母親が見つけた。今度は美人であり、仲睦まじく夜もうまく行っているようだ。張り切って二人乗りでオートバイを飛ばしている。

廃船になった蒸気船で生活する老船長と先生は知り合いになる。ある夜、酒の勢いで船長は幼馴染みとのロマンスがあったことを詳しく教えてくれる。彼は今も遠い想い出の中に生きているようだ。
ごったく屋のおせいが、先生の部屋に上がり込み、身請けしてくれるようにモーションを掛けてきた。しかし、あっさり振られたおせいは、腹いせに偽装心中を仕組む。そのおかげで、警察のご厄介になった先生は、浦粕集落から東京へ逃げ出した。

 

青べか物語 1962 東宝東京製作 東宝配給 山本周五郎の原作小説を川島雄三が映画化

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