F・スコット・フィッツジェラルドの短篇小説「バビロン再訪」を基にして終戦後のパリに舞台を置き換えて、アメリカ出身の記者と美しい姉妹の恋愛模様を描いたメロドラマ

監督はリチャード・ブルックス
主演はエリザベス・テイラー、ヴァン・ジョンソン
共演はドナ・リード、ウォルター・ピジョン、ロジャー・ムーア

あらすじ

パリで、市民と兵士は長かった戦争の終結に歓喜していた。歓喜の渦の中に従軍記者のチャールズがいた。チャールズは雑踏の中で美しい女性とキスする。
チャールズは近くのカフェに入ると、クロードとノルマンディー上陸直前の英国以来の再会を果たす。そのとき、一緒にいた女性がマリオンだった。彼女はチャールズに興味を抱き、マリオンの父ジェームスが主催するパーティに行けば「酒がある」と言って招待する。
マリオンの自宅へ着くと、雑踏の中でキスした女性と再会する。彼女は、ヘレンという名でマリオンの実妹だった。二人はすぐに接近する。それを姉マリオンは複雑な気持ちで見ていた。

その後、会社からチャールズはマリオン宅に電話を掛けると、ヘレンが出る。チャールズはマリオンと約束をしていたのだが、今夜凱旋門にある無名戦士の墓で待つとの伝言をヘレンに託す。
しかし、そこに現れたのはヘレンだった。マリオンはクロードときていると言う。花火が打ち上がり、ロマンチックなムードに包まれて、何回もキスを交わした二人は恋人になる。
二人がカフェでデートをしていると、日本が降伏したという知らせが入り、チャールズは仕事で会社に戻る。大雨が降りチャールズは、傘を持たず帰宅するヘレンを心配する。その通り、雨に濡れたヘレンは肺炎になり、入院する。
ヘレンを見舞に行き、チャールズは彼女に求婚する。そして結婚してもパリで暮らしたいヘレンのために、地元の通信社に転職する。ジェームスは二人の結婚祝いにテキサスの土地をプレゼントする。マリオンもクロードとの結婚を決めた。

結婚したチャールズとヘレンの間にベッキーという女の子が産まれる。しかし地元新聞社では、裕福な生活をさせられない。チャールズは生活の足しにするため、仕事の合間に小説を書いて出版社に送りはじめた。
しかし、終戦から5年経ってもまだ売れない。チャールズは苛立ち、夫婦の間に少しずつ溝が深まっていった。チャールズは、取材で知り合ったロレーヌと遊び歩くようになる。
そんな折、父から贈与を受けたテキサスの土地から石油が出たという知らせが入る。金持ちになったため、仕事を辞めたチャールズは自動車レースに没入するようになる。さらにヘレンに好意を寄せる青年ポールが現れたことで夫婦仲は悪化の一途を辿る。

チャールズはロレーヌを連れてカーレースに参加するが、脱線して途中棄権する。ロレーヌとパリへ戻ってきたチャールズは、ヘレンとポールがデートする現場を目撃して怒りだす。
チャールズは家に帰ってヤケ酒を煽り、そのまま眠り込む。ヘレンはポールが結婚を考えてないことを知り、ポールへの愛情がすっかり冷めてしまう。

ヘレンが、家に帰ると鍵が閉まっており中に入れてもらえない。彼女は、家を閉め出されたと思い込み、大雨の中をマリオンの家までたどり着くが、その場に倒れる。
病院でヘレンは、危篤状態に陥る。知らせを受けたチャールズは泣きながら病床のヘレンに声をかける。するとヘレンは「あなたを愛している」と囁き、静かに息を引き取った。
チャールズは、マリオンにベッキーのことを託して、ひとまずアメリカに単身で帰ることにする。

雑感

80年代に映画館で一回、90年代にテレビで一回見たのにもう忘れてしまっていた。本当のことを言うと、子役が母親に全く似ていないことだけ覚えていた。

フィッツジェラルドの原作は、第一次世界大戦後の話だ。それを第二次大戦後に移すのは、脚本家も大変だったろう。しかもスターが大勢出ているから、気配りしなければいけない。

原作は、ロアリング・トゥウェンティーズと呼ばれた1920年代のバブルが弾けて大恐慌となった1930年に書かれた小説だ。これは、10年かけたバカ祭りが終わった年だ。原作者の実体験に基づいている。20年代のゼルダは有名な悪妻で、酒と男以外にもバレエに打ち込んだこともあった。その辺は娘ビッキが下手なバレエ・シーンに反映されている。このように、脚本家は主人公二人の愛憎に原作者とゼルダの伝記を埋め込んでいるのだ。
その雰囲気も映画に醸し出すことにリチャード・ブルックスは成功している。

なおフィッツジェラルドは1940年に44歳でアル中から来る心臓疾患で亡くなった。作家でもあったゼルダは、情緒不安が悪化し、夫の浮気(ハリウッドのコラムニストであるシーラ・グレアムとの関係)で統合失調症を発症する。最後は絵画に強い興味を持っていたが、1948年病院が火事になり、彼女は巻き込まれて亡くなる。先に死んだのは、夫の方だった。

話は変わるが、ロジャー・ムーアが脇役だった時代の姿も見ていただこう。

スタッフ

監督  リチャード・ブルックス
脚本  ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、リチャード・ブルックス
原作  F・スコット・フィッツジェラルド『バビロン再訪』
製作  ジャック・カミングス
音楽  ソール・チャップリン、コンラッド・サリンジャー
主題歌 「The Last Time I Saw Paris」(作曲ジェローム・カーン、作詞オスカー・ハマースタイン2世
撮影  ジョセフ・ルッテンバーグ

キャスト

ヘレン  エリザベス・テイラー
チャールズ   ヴァン・ジョンソン
ジェームズ(ヘレンの父) ウォルター・ピジョン
マリオン(ヘレンの姉) ドナ・リード
クロード(マリオンの夫)  ジョージ・ドレンツ
ロレーヌ  エヴァ・ガボール
ビッキー(ヘレンの娘) サンディ・デスチャー
ポール   ロジャー・ムーア

ネタばれ

2年が経ち、チャールズはパリに戻って来る。小説家として成功したチャールズは、ベッキーを再び引き取りたいと思っていた。ベッキーも父親とまた一緒に暮らしたいと願っている。
チャールズは、マリオンに娘を返して欲しいとお願いする。しかしマリオンは、チャールズには渡さないと言って彼を追い払う。
クロードはマリオンの心中を察していた。マリオンの恋心に気づかず、勝手に結婚したチャールズを許せなかったのだ。クロードはマリオンに、決して手に入らないものがあると言って戒める。

チャールズがカフェで飲んでいるとそこにマリオンが現れる。マリオンとともに外に出ると、そこにベッキーが立っていた。チャールズは、ベッキーと共にアメリカに旅立つ。

 

 

 

 

雨の朝パリに死す Last Time I Saw Paris 1954 MGM製作・配給 フィッツジェラルド原作の映画化

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