製作マーク・ヘリンジャーと監督ジュールス・ダッシンのコンビが、名作「裸の町」を公開する前年に、刑務所での看守によるパワハラと囚人の反乱を描いた脱獄映画

ロバート・パタースンの原作をリチャード・ブルックスが脚色。
主演はバート・ランカスターヒューム・クローニン
共演はチャールズ・ビックフォード、イヴォンヌ・デ・カーロ、アン・ブライス、エラ・レインズ
白黒映画だ。

あらすじ

ウェストゲイト刑務所は、形式的には所長バーンズのもとに運営管理されていたが、実際は囚人に厳しい、冷血漢の看守長マンジーが実験を奮っていた。一方、刑務所付きのウォルターズ医師は、温厚で慈悲深い性格で人気があった。

ジョーは、彼の入獄も知らずにいる恋人ルースがいて、これが癌を患ったために、脱獄を計画している。マンジーは囚人の中から権力に阿る人間を、スパイとして他の囚人が反乱しないか見張っていた。そこでジョーは、仲間達に使ってスパイを刑務所作業場内で殺してしまう。しかしその時間にジョーは、ウォルターズの許で時間を潰しており、マンジーに挙げられる心配はなかった。
マンジーは、ジョーの同室の囚人に妻が離婚を申請したと言うと、みんなが映画鑑賞会に行っている最中に首を括って死んでしまった。
ウォルタースは、ジョーたち囚人の不満の原因がマンジーであり、囚人の自殺もマンジーがそうなるように唆したと示唆した。しかし怒ったマンジーに殴り倒されてしまう。
この自殺事件で、全ての仮出所は延期になってしまう。温厚なギャラガーは怒り、ジョーの脱獄計画に参加する。

ジョーたちは、重労働である下水溝の工事をやらされていた。それはジョーの思う壺だった。ここは外部への唯一の脱出口だ。ジョーはトロッコを利用した脱出計画の準備をすすめていた。
決行当日、ギャラガーの情報をジョーに伝えようと、ルイは下水溝に入ろうと看守に許可を得に行くが、マンジーの部屋に連行され、拷問を受ける。計画のすべてが筒抜けだったのだ。
ウォーターズはこれを知って、ジョーに計画を中止することをすすめたが、彼は勝算があった。
マンジーは監視塔や下水溝の出入口に機関銃を配置して備えて、敵が動き出すのを待った。
失策続きの現所長が、上司により解雇されることが発表された。いよいよマンジーが所長に昇格する・・・。

 

雑感

ウォルターズ医師がラストで、関与した連中は結局脱獄できなかった、だから割に合わないことをするなと訴えている。
しかしそれはヘイズコード上の建前でしか無い。
ジュールス・ダッシン監督は、刑務所内で囚人に対して看守がハラスメントをしている事実を赤裸々に社会に訴えている。

しかしアルカトラズ島の刑務所も脱獄されてしまい、結局廃止された。アメリカの多くの刑務所でも改革が進んでいる。
圧倒的に遅れていた日本でも、初犯者や病人に対しては民間刑務所が開設されている。時代は変わってきた。
それでも刑務官によるパワハラ、セクハラはたまにニュースになる。

 

プロデューサーのマーク・ヘリンジャーは、暴力表現を抑えてくれと監督に頼んでいたらしいが、ジュールス・ダッシンは派手にやってしまったw。そのおかげでかも知れないが、ヘリンジャーは直後に亡くなった。
なおヘリンジャーとダッシンのコンビによる名作警察映画「裸の町」は公開は1948年だが、撮影順はこちらの方が先だ。
なお、今見ると残酷表現を抑えているように見えるが、ヘイズコードがあったから当時のアメリカ人にとっては目新しかったはずだ。

プロデューサーは、売出し中のバート・ランカスターを主演に据えただけで、後のことは監督に任せていた。そこでジュールス・ダッシンは自分が主催するアクターズ・ラボラトリー・シアターから多数の俳優を起用する。日本で言えば、劇団民藝が全盛期の日活映画と多数提携したが、それと同じだ。
それ以外にもジョン・ホイトは当時マーキュリー劇場(オーソン・ウェルズ舞台監督)に所属していた。

ジュールス・ダッシンがこういう社会派映画を作ったおかげで赤狩りのリストに入れられて、ハリウッドを追われ、ヨーロッパで活躍するようになる。ジュールス・ダッシンを失ったALTは、リー・ストラスバーグの指導するアクターズ・スタジオとして生まれ変わる。

出演する女優は、各囚人の回想シーンで最後庭枯れたシーンで現れた。面会には来ていない。

また有名な絵がある。この絵は有名な画家ジョン・デッカーの作品だ。恋人役のエラ・レインズ、アン・ブライス、イヴォンヌ・デ・カーロを合成して描いたものと言われている。彼は、この映画の公開直前に亡くなった。製作者ヘリンジャーも亡くなったので、この絵は「呪われた絵」と言われている。

スタッフ

製作  マーク・ヘリンジャー
監督  ジュールス・ダッシン
脚本  リチャード・ブルックス
原作  ロバート・パターソン
撮影  ウィリアム・H・ダニエルズ
音楽  ミクロス・ローザ

キャスト

囚人ジョー・コリンズ  バート・ランカスター
マンジー看守長  ヒューム・クローニン
模範囚ギャラガー   チャールス・ビックフォード
トム  ウィット・ビッセル
ルイ   サム・レヴィーン
スペンサー  ジョン・ホイト
ウォルターズ医師  アート・スミス
元兵士  ハワード・ダフ
ジーナ  イヴォンヌ・デ・カーロ
ルース  アン・ブライス
コルド  エラ・レインズ

 

ネタばれ

これがきっかけで刑務所内で看守が囚人に襲われ、マンジーは囚人達に機関銃を自ら撃った。

ジョーは囚人達を指揮して看守を襲い、銃を手に入れ、スパイをトロッコの正面に縛りつけ、下水溝を突破して、監視塔に登った。そのときには他の仲間は全て撃たれて死んでいた。
機関銃を打ちつづけるマンジーと戦いの末、ジョーは小柄なマンジーを体ごと持ち上げて、監視塔の上から地面へ向けて叩きつけた。しかしジョーも銃を撃たれてその場で火に包まれて亡くなった。囚人達はかけつけた警官隊によって、鎮圧された。
虚しさだけが残った。

真昼の暴動 Brute Force 1947 マックス・ヘリンジャー製作 ユニバーサル配給 ブレイクストン=映配 国内配給(1957)

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