1943年イタリア・ファシズムの凋落を背景に、避暑地での激しい恋の季節を描くメロドラマ
スーゾ・チェッキ・ダミーコジョルジョ・プロスペリの原案・脚色を二作目のヴァレリオ・ズルリーニが監督した。

主演はジャン・ルイ・トランティニャン、エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ、共演はジャクリーヌ・ササール、ラフ・マッティオーリ、フェデリカ・ランキら。白黒映画。

あらすじ

1943年夏、高級避暑地リッチョーネでは、上流社会の若者たちが、戦争とは関係なく青春を謳歌している。カルロがそこに加わった。彼はファシスト党幹部の息子で別荘に疎開してきた。顔なじみのロッサーナは、成長したカルロに惹かれた。

突然、海岸で遊ぶ人々の前で敵の戦闘機が低空飛行した。泣きついてきた女の子をカルロはあやしてやった。それが切っ掛けでカルロは、女児の母親で30歳ぐらいのロベルタを知り合い、激しく彼女に惹かれる。ロベルタは戦争未亡人だった。ロベルタの夫は、海軍で艦長をしていて軍艦と運命を共にした。
ロベルタに惹かれるカルロの横顔を見てロッサーナは嫉妬の炎を燃やす。それ以来、ロッサーナはロベルタやその義妹マダリーナを避けるようになる。
若者たちがロベルタを連れてカルロの別荘にやって来る。外に出てロベルタとカルロは無意識に口づけをした。それを見てしまったロッサーナは、泣きながら走り去った。

カルロとロベルタがデートをしてるとき、街では騒ぎになっていた。ムッソリーニ政権が倒されて、バドリオ将軍の政権樹立が伝えられていた。
カルロの父が、別荘まで逃げて来たが、書類をまとめると、カルロを残して消えた。二人っきりになったロベルタとカルロは、夜ついに海岸で結ばれる。亡くなった夫がずいぶん年上だったため、彼女は初めて愛の歓びを知った・・・。

 

雑感

イタリアの上流階級を描いたメロドラマ。夫は戦死しているので決してロベルタとカルロの関係は不倫ではないのだが、上流家庭なので恋愛に非常に厳しい。そこに上手く戦争の悲劇を加えて、ドラマティックにし上げてある。なかなか良い作品だと思う。
カルロとロベルタが、お互いに見つめ合いすぎと言っている人がいたが、本当の恋愛を知らないのだw。夢中になったら、イタリア人じゃなくてもベタベタする。

ムッソリーニ政権が倒れた後、戦争はまだ終わっていないのだが、ファシスト党支部が民衆により襲撃に遭うシーンがある。あれこそがイタリア人だ。ファシズムが自由を長く束縛してしまうと、人々は我慢が出来なくなり、爆発するのだ。最近のコロナ禍でも、政府は人々の行動を抑え続けていられない。コロナより自由の束縛の方が嫌なのだ。

エレオノーラ・ロッシ・ドラゴは、30歳を過ぎていたが、美人だった。イングリッド・バーグマンのように少し垂れ目で可愛い感じの人だ。イタリア女性にしては細身の彼女を見ると、それと比べてジャクリーヌ・ササールは、10年後太ったのかなと思う。若い時から既にポッチャリしていたから、27歳で引退したのは正解か。
同年にドラゴは、ピエトロ・ジェルミ監督・主演の「刑事」にも被害者役で出演している。その時も出番は少なかったが、ヒロインのクラウディア・カルディナーレより印象が深かった。

ジャン=ルイ・トランティニャンは、珍しい金髪姿だろう?ラテン民族らしい黒髪ではなかった。当時の彼は、20歳になってから演劇に興味を持ち、既にブリジット・バルドー、ジャンヌ・モローとも共演経験がある24歳の将来性豊かな俳優だった。彼の演ずるカルロは、もう終わったも同じの敗戦処理用の戦争なのだが、それでもロベルタを愛し、彼女の愛娘を守るためにも命を投げ出す覚悟をしたのだ。その辺が上手く出ていた。

実は、ラブシーンに全く別バージョンがあった。二人が結ばれた直後の夜明けの様子だが、本編ではうっすらと明るくなってきた海岸で着衣のまま抱き合っているシーンである。いかにも規制対策だろう。
一方、DVDの付録のシーンこそ実際のシーンである。二人は室内で裸でいて、ロベルタは仰向けで、上半身裸である。彼女はイタリア人にしては細身だと思ったが、横になると胸が大きく見える。

主題曲「激しい季節」は、マリオ・ナシンベーネ作曲によるもの。イタリアらしい一曲で哀愁を感じる。映画ではカルロがロベルタとダンスするシーンに掛かっていた。

スタッフ

製作シルヴィオ・クレメンテッリ
監督、脚色ヴァレリオ・ズルリーニ
原案・脚色スーゾ・チェッキ・ダミーコ、ジョルジョ・プロスペリ
撮影ティノ・サントーニ
音楽マリオ・ナシンベーネ

 

キャスト

カルロ  ジャン=ルイ・トランティニャン
ロベルタ  エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ
ロザンナ  ジャクリーヌ・ササール
ジョルジョ  ラフ・マッティオーリ
マダリーナ  フェデリカ・ランキ
ロベルタの母  リッラ・ブリグノン

 

ネタばれ

ある夜、ロベルタと夜の海岸を歩いていたカルロは、憲兵に呼び止められ、兵役延期証明書を見せろと言われる。証明書の期限はとっくに切れていた。憲兵には身分証明書まで取り上げられる。

翌朝役所に出頭しろと言われたカルロは悩んだ末、ロベルタとの逃避行を決意した。ボローニャの近くにロベルタの自由にできる別荘があるという。二人は翌朝、列車で出発した。

しかし、列車は途中で連合空軍の激しい空爆を受けた。ロベルタは、死んだ幼女を見て残してきた子供を思い出した。カルロはロベルタのためにも出征する覚悟を決めた。ロベルタを列車に乗せ、自分は駅に留まり別れを告げた。
泣くロベルタを乗せた列車は去って行った。

激しい季節 Estate violenta 1959 イタリア+フランス製作 ティヌタス配給 イタリフィルム国内配給(1960)

投稿ナビゲーション