前年にヒットしたスパイ映画寒い国から帰ったスパイ」に続いて、ジョン・ル・カレ原作小説二度目の映画化。今回は彼のデビュー作である、ミステリ風味のあるスパイ小説死者にかかってきた電話」をシドニー・ルメットが製作兼監督として採り上げた。脚本はポール・デーン

主演はジェームズ・メイスン
共演はシモーヌ・シニョレ、マキシミリアン・シェル、ハリー・アンドリューズ。イギリス製作らしい暗い色調のカラー映画。

あらすじ

1960年代のロンドン。チャールズ・ドブスは、内務省のMI5(国内でのテロリストの活動を警戒する部署)に勤めている。外務省のフェナンが密告されたので形式的な取り調べを行った。彼は戦時中、共産党に属していたが、その後転向したはずだった。
翌日早朝にチャールズは、電話で叩き起こされる。フェナンがチャールズを恨む遺書を残して自殺したというのだ。早速、未亡人エルサに会いに行く。未亡人は、収容所体験のあるユダヤ人だった。そのとき、フェナン家の電話が鳴った。チャールズが取ると、モーニング・コールだった。エルサによると、彼女が依頼したそうだ。MI5は刑事権を持っていないので、警察に連絡しようと上司である「顧問」に願いでるが、外務省と揉めたくないため、「顧問」は自殺で収めようとする。怒ったチャールズは、退職する。

チャールズは、家庭でも問題を抱えていた。年の差のあるカップルであり、子がなく、妻が浮気をしているのだ。ところが、妻は本気になってしまった。相手はチューリッヒに住んでいるディーターだった。彼は、戦争中のチャールズの部下だった男であり、今では事業を展開してるらしい。妻は、家を出ていってしまった。ディーターは、彼女が本気になって困っていた。

ベテラン元警察官メンデルが協力して、フェナンの調査を始める。チャールズの車は誰かに尾けられていた。ナンバープレートから、修理工アダム・スカーの車と知れる。メンデルが脅かすと、スカーはすぐ吐いた。外人の背の高い男にレンタルしたそうだ。周辺を一人で歩いていたチャールズは、その男に襲われ重傷を負う。その後、スカーもまた外人に高所から頭を下にして落とされて、殺される。

チャールズは、手のギブスが取れないまま退院した。メンデルの他に同僚ビルが協力してくれた。まずその外人の殺し屋がハンガリー人だという情報を手に入れたので関連する場所をガサ入れするが、そのハンガリー人はエレベーターの中で首を折られて死んでいた。恐らく黒幕に消されたのだろう・・・。

雑感

ジェームズ・メイスン、シモーヌ・シニョレ、マクシミリアン・シェルという英仏独の三大スターを集めた豪華な映画だ。
ただ、犯人が誰かは、出てきた途端にわかってしまった。配役が下手なのだ。
MI6と違って、MI5に刑事権はないとか、内務大臣の管轄下にあるが内務省の一部門ではないとか、トリビアのようなネタが仕込めたのではないか。

テレビで放映された時は、邦題は「恐怖との遭遇」。しかし内容とかけ離れているため、今回のDVD発売にあたって原作小説の翻訳版の邦題をこの映画の邦題にもしてしまった。
まあシドニー・ルメット作品としては、作品として悪くないがパンチもなく、面白かったと言い切れないところがある。

撮影は、イギリス特有の天候の悪さから来る暗さを楽しめる人には向いている。
IMDBで7点未満の出来だろう。

スタッフ

監督・製作  シドニー・ルメット
脚本  ポール・デーン
音楽  クインシー・ジョーンズ
撮影  フレディー・ヤング

 

キャスト

チャールズ・ドブス(MI5のスパイ)  ジェームズ・メイスン
エルサ・フェナン(フェナンの妻)  シモーヌ・シニョレ
ディーター・フライ(大戦中の部下)  マキシミリアン・シェル
アン・ドブス(チャールズの妻)  ハリエット・アンダーソン
メンデル(元警官の探偵)  ハリー・アンドリューズ
ビル・アプルビー(チャールズの同僚)  ケネス・ヘイ
アダム・スカー(自動車修理工)  ロイ・キニア
顧問(チャールズの上司)  マックス・エイドリアン
ヴァージン(シェークスピア劇場の雑用係)  リン・レッドグレイヴ
サミュエル・フェナン(自殺した外務省職員)  ロバート・フレミング

 

***

フェナンの死も他殺かもしれない。エルサが、夫フェナンが死んだ時間にロイヤル・シェークスピア劇場で夫以外の男と観劇していたという証言が得られた。
そこでチャールズは、エルサがスパイだと確信した。エルサにチャールズが黒幕男の振りをして暗号入りのハガキを送る。エルサは、それを受け取るとシェークスピア劇場に行って二つの座席を予約し、一方のチケットを黒幕に送る。そして二人は、劇場で合流して互いの持つ情報を交換するはずだ。

当日になり、メンデルはエルサを尾けて劇場に入る。チャールズとビルは、二階席から監視している。エルサの隣は、最終幕になってある男が座る。それはディータだった。彼がソ連側のスパイとして英国に送り込まれたのだ。エルサとディータは小声で話し合っているようだった。チャールズは、こちらのトリックがばれたと悟った。そのうち、ディータは一人で出ていった。メンデルが後を追う。チャールズは、エルサの様子を見に行くと、首の骨を片手で折られて死んでいた。
メンデルからの連絡を受け取りチャールズは、港の船着場へ行く。ボートをディータは、隠れ家にしていた。メンデルが踏み込もうとした瞬間、サイレンサーでメンデルが撃たれる。そしてしばらくチャールズは、ディータが自分に近付くために妻にまず接近したと吐かせる。メンデルが動いたのでディータが止めを指す。怒りが爆発したチャールズは、包帯でぐるぐる巻きにしていた腕でディータを打つと、金属製の音がして彼は海に落ち、船に巻き込まれて死ぬ。チャールズは、ギブスの外に金属板を入れていたのだ。
チャールズは、事件の後始末が終わると、チューリヒに向かい、妻に会って訃報を伝えた。

死者にかかってきた電話/恐怖との遭遇 The Deadly Affair (1966) 英シドニー・ルメット・プロ製作 コロンビア配給 日本未公開

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