超人気作家の短編集だ。
推理作家協会賞受賞作品「動機」の主人公は、40代の県警キャリア。管理系の警務部勤務だ。彼は警察手帖の一括管理を起案する。企画が実現した途端に、所轄署で30冊もの手帖盗難事件が起きる。エリートが一転窮地に追い込まれた。
犯人は警察内部に絞られる。宿直の刑事か、それとも警務課のベテラン署員か。警察官の命とも言える、手帖の一括管理に刑事課は反発していた。
「逆転の夏」
女子高生強姦殺人事件の犯人が刑務所を出所したところから始まる。働き口を見つけた彼に「人を殺して欲しい」と、匿名の電話が入る。
「ネタ元」
地方紙の警察担当者は、女性である。男性社会が故のプレッシャーから彼女は傷ついていた。そんなとき他社から引き抜きの声が掛かった・・・
「密室の人」
判事が公判中に居眠りをしてしまう。それを新聞記者にかぎつけられて、窮地に立たされる。
文章はうまい。スイスイ読める。ところどころキザな文章が出てくるのが、玉に瑕。
上毛新聞社出身だから、司法や新聞関係には強い。高村薫も警察内部の対立を詳しく描くが、横山もそうだ。ある部分、横山の方が現場で直接見てるだけ、真に迫ってる。
しかしユーモアがない。俺の好みから大きく離れる。松本清張ファンには少し重いかも知れぬ。
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横山秀夫 「動機」 文春文庫