漫画「11人いる!」は少女漫画の第一人者萩尾望都先生が1975年に連載していた名作SF。
それをNHKは昭和52年お正月に40分間の少年ドラマ一本に凝縮してしまった。
それをNHKは昭和52年お正月に40分間の少年ドラマ一本に凝縮してしまった。
自由・調和・博愛をモットーにする宇宙大学の最終試験に残った者10名が一緒に宇宙船でサバイバル訓練を行う。53日間全員が耐え抜けば合格であるが、誰かが非常用ボタンを押したら全員失格となる。ところが宇宙船に乗り込むと、11人いる。誰だ、偽受験生は?彼らは疑心暗鬼に襲われながらも非常事態を生き抜き、友情と恋を培っていく。
結末はドラマオリジナルで、何だかなあと言う結末だった。のちにカルトと言われたのも仕方がない。
ただし主役格フロルベルチェリ・フロルは原作同様にLGBT的要素を持っていて「俺、お前が女になれと言うんなら、俺それでもいいや」というラストシーンにキュンとしたのを思い出す。そういう意味では萩尾先生はずっと先を走っていた人だった。
NHKお得意の超低予算。要するに今見るとお粗末なセットをいくつか使い回している。コスチュームもまるで中学の学芸会。
その代わり、校長は佐藤慶、フロルベリチェリ・フロルは当時宝塚の若手スターだった山城はるか、王様は名子役出身の吉田次昭、ガンガスが穂積ぺぺ、チャコが三ツ矢雄二(現在声優)と渋い配役だった。出身が様々だから演技の異種格闘技戦になっていた。
中でも山城はるかは、スタイルが良くってマニッシュで僕好みの美人だった。個人的には女役の黒木瞳と良い勝負だったと思う。早く宝塚を辞めて欲しかったのだが、11年間宝塚に在籍して最後は男役の二番手止まりだった。現在は振付師をしているらしい。
脚本は佐々木守先生。萩尾望都先生は出演者との集合写真も撮っていたのだから、脚本にOKを出していたはずだ。でも相手が大島渚監督映画作品からドラマ、特撮、アニメ、漫画のシナリオライターで、どのジャンルでも大ヒットを飛ばしていた佐々木守相手だったから、仕方なくOKしたのだろう。
とまあ悪く言ったけれども、今見ると、限られたセットを使いこなしたこのドラマは、演出的には今で言うところの2.5次元演劇(漫画アニメの舞台化)だった。
現代の2.5次元舞台劇は、もう少し練習時間を重ねているから、マシに見えるが、40年前にタイムリープして再現したらこんなものになる。
今ではDVDで鑑賞できる。今から見直してもやはりカルトだと思うが、最大のテーマである恋愛がブレてないから、見る価値はある。
1986年に劇場版アニメになっている。声の主演が神谷明と河合美智子で上映当時、とくに女優河合の起用については相当批判があった。
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