アダム・ホール(エルストン・トレヴァーが書いてエドガー賞長編賞を受賞した、西ドイツネオ・ナチが暗躍するスパイ小説「不死鳥を倒せ」をノーベル文学賞劇作家ハロルド・ピンターが脚色し、マイケル・アンダーソンが監督したスパイ映画。製作はイバン・フォックスウェルで、音楽ではジョン・バリーの007と違う暗めの主題歌がマット・モンローの歌でヒットし

主演は「バージニア・ウルフなんかこわくない」のジョージ・シーガル
共演はアレック・ギネス、マックス・フォン・シドー、ゼンタ・バーガー。カラー映画。

あらすじ

第二次世界大戦後、分断された西ベルリンで、ナチス残党(ネオ・ナチ)の活動が活発化していた。ある日、イギリス諜報部員のひとりが暗殺された。彼の後任として、休暇中だったクィラーが急遽派遣された。彼は、上司ポールからネオ・ナチの本拠をつきとめることを命じられる。
クィラーは、ネオ・ナチの情報をルポする雑誌記者として、ある小学校を訪れた。そこで、父親が元ネオ・ナチだった美人教師インゲと知り合う。何度か会ううちに、二人は愛し合うようになる。

しかし、クィラーはネオ・ナチに誘拐され、拷問を受けた。彼らは、イギリス諜報部の西ベルリンにおける本拠地を知りたかったのだ。
クィラーに手こずった首領オクトーバーは、一旦彼を解放するふりをして、跡を尾けさせたが、彼は追手を難なく巻いてしまった・・・。

 

雑感

ネオ・ナチの話だったが、そのまま東ドイツとのスパイ戦としても映画は成立している。

ゼンダ・バーガーは、一目見てエキゾチックな人だと気づくが、ドイツ人でなく美人のオーストリア人女優である。「マイ・ラグジュアリー・ナイト」を歌った歌手のしばたはつみが、彼女を見習ってメイクしたのかと思うほど、似た雰囲気を持っている。

この映画は、彼女を見るためのものだ。それ以外に見るべきものはない。
ハロルド・ピンターは、英国の劇作家であり、2005年にノーベル文学賞を受賞したが、その快挙をイギリス政府やBBCは一切無視した。不条理劇の劇作家であり左翼活動家でもあるピンターが、アメリカのイラク戦争に反対していたからだ。
彼は、この映画の脚本を担当したが、チグハグだった。最初から、お互いに相手を怪しいと思っているはずのクィラーとインゲの丁々発止が全く描かれていない。
ピンターは、赤狩りでヨーロッパに活動の舞台を移したジョセフ・ロージーと組むことが多かったが、その際は良い脚本を書いていた。
東欧ユダヤ系移民家庭で生まれ育ったジョージ・シーガルは、多数の映画で活躍し、2021年に心臓手術の合併症にて亡くなった。

スタッフ

製作  イバン・フォックスウェル
監督  マイケル・アンダーソン
脚色  ハロルド・ピンター
原作  アダム・ホール
撮影  アーウィン・ヒリヤー
音楽  ジョン・バリー
主題歌  マット・モンロー「さらばベルリンの灯」

 

キャスト

クイラー(英国スパイ)  ジョージ・シーガル
ポール(直属の上司)  アレック・ギネス
オクトーバー(ネオナチの幹部)  マックス・フォン・シドー
インゲ(女教師)  ゼンタ・バーガー
ギブス卿(英国諜報部長)  ジョージ・サンダース
ウェング  ロバート・ヘルプマン
ギブスの部下  ロバート・フレミング
ヘンゲル  ペーター・カルステン
女校長  エディット・シュナイダー
ハスラー(インゲの父の友人)  ギュンター・マイスナー
ジョーンズ(クィラーのボディガード)  ロバート・ストラウス

***

彼は、インゲにネオ・ナチの本拠を知る人物を紹介される。それは、インゲが勤める学校の女校長だった。
校長のクィラーは、敵の本拠に乗り込んだ。ところが、オクトーバーはインゲを人質にし、諜報部の所在地を言わなければ、彼女を殺すと脅した。そしてクィラーに考える時間を与えると言って、何故か散歩を許した。

宿に戻ったクィラーは、自分の車にしかけられた爆弾に気づき、少し離れたところに隠れて遠隔爆発させた。その騒動の隙に、彼はベンツ・ベルリン支店にある諜報部本拠地に駆け込み、ポールに敵の本拠地を告げる。早速、諜報部員は敵本拠地を急襲し、そこにいた者を全員逮捕する。しかし、その中に女性は含まれていなかった。

翌日、クィラーが放課後の学校に行くと、インゲは驚いた顔をして迎えた。彼女や校長は、ネオナチの一員でクィラーが散歩に出ると、暗殺するつもりだったので先に帰ったのだ。クィラーは、また機会があれば会いたいと皮肉たっぷりに言って、西ベルリンを去った。

さらばベルリンの灯 The Quiller Memorandum (1966) イヴァン・フォックスウェル製作 20世紀フォックス配給 英国スパイ対ネオナチ軍団

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