戦後から昭和51年ぐらいまでの流行語、死語をメモ的に書きつづった作品。
まずエッチの語源は、変態の頭文字である。「エッチしようよ」と言って良いものか?

 

印象に残ったのは、世代を表す言葉。まず太陽族である。石原慎太郎の小説「太陽の季節」が芥川賞を受賞して映画化された。そこから太陽族という言葉を大宅壮一が作った。彼らは思春期に戦争が終わり、大人なんて大したこと無いと気付いた最初の世代だ。うちの親父だ昭和10年生まれからそこを中心にして、±5年ぐらいの世代だろう。
彼らより上の世代は、昭和初年頃に生まれ戦中派といわれた。出征したが初年兵か二年兵のときに、戦争が終わってる。特攻隊で死んだ仲間もいて、自分たちが死に損ないのように思える。三島由紀夫がそうだ。

太陽族の下の世代がベビーブーマー団塊の世代だ。戦争を知らない子どもたち、とも言われる。

 

次に景気の名前。
昭和25年からの朝鮮戦争景気も逆に不景気になり、ようやく一息付いた昭和31年には、「もはや戦後ではない」という経済白書の記述が流行した。そこから神武景気に入るが、輸入超過で金利が上がり、33年には、なべ底景気(不況)に突入。
翌34年には、岩戸景気が始まる。池田内閣は所得倍増計画をぶち上げるが、バブルはすぐ弾けた。
昭和39年からは証券不況で、新卒者の就職もままならなかった。しかし、40年下半期から、いざなぎ景気が5年もの間続くことになる。
45年頃、日本人は次第にエコノミックアニマルを続けているのが、世知辛くなってきた。一休みしたいと思った矢先、ブルドーザーに乗った総理大臣がやってきた。列島改造論田中角栄である。高速道路を付けて、地方都市の活性化を目指すという。地方都市の地価は、高騰した。
しかしバブルはバブル。やがて石油ショックが始まり、田中政権は退陣する。
その後は、ご存じの通りの展開だ。第二次石油ショックを経て、プラザ合意を受け、バブル膨張そして崩壊

 

CMの流行語や時代を映した死語も豊富に掲載されている。自分なりのテーマを持って、死語の落ち穂拾いをしてみるのも良い。

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