(☆)名作サスペンス映画のリメイク
周囲を沼に囲まれたオールド・ダーク・ハウスで、殺人事件が起きる。
監督はエリオット・ニュージェントジョン・ウィラード原作戯曲をウォルター・デレオン、リン・スターリングが脚本にした。

主演はボブ・ホープポーレット・ゴダード
共演は、ジョージ・ズッコ、ゲイル・ソンダーガード、ダグラス・モンゴメリ
白黒映画。

あらすじ

ルイジアナの大富豪サイラス・ノーマンが死んで10年が経つ。その夜、クロスビー弁護士はサイラスの遺言発表のため、親戚六人を広い沼地に囲まれた、サイラスが所有していた気味の悪い屋敷に招集した。サイラスの屋敷は、家政婦のクレオール人ルーが一人で10年間守っていた。
六人の親族を前にしてクロスビーによって遺言書が開封され、六人の親族のうち孫娘のジョイスだけが遺産を相続すると発表された。内容は、この屋敷と盗まれたと言われる宝石を散りばめたネックレスだ。
一年以内にジョイスが死ぬか精神疾患になった時のため、二つ目の遺言書が用意されていて、クロスビーが保管している。その夜は、沼の渡し船がもう来ないので明日まで親族六人とクロスビーは、屋敷に泊まらなければいけない。すると、ジョイスの身の回りで怪事件が起きる。まず、家政婦のルーが今晩、誰かが死ぬと言い出す。ガードマンのヘンドリクスは、「猫」と呼ばれる殺人鬼が収容先の病院を抜け出したため、見回りに来た。そのことは親戚中で、興奮しているジョイスにだけは黙っていることになった。
しかし、ジョイスの部屋を訪れて身の危険を知らせようとしたクロスビーが突然消失する。親族はそんな馬鹿なことはない、お前は気が狂ったのではないかと疑うが、ただ一人ウォーリーだけはジョイスの味方になった。ジョイスは、違う部屋で寝ることになった。二人は、協力して庭のキューピット像から宝物のネックレスを見つけ出す。
夜も更けて、皆が床に着くとジョイスの叫び声が聞こえる。部屋をこじ開けると、ジョイスが壁から男の手が伸びて来たと口走った。また気が狂ったかと思われたが、ジョイスが壁を調べると、隠し扉が出てきた。それを開くと、クロスビーの死体があった。皆はジョイスの言葉を信じて、屋敷の周辺を探し回る・・・。

雑感

一応、サスペンスの体をなしているのだが、ボブ・ホープが一人いるだけで随分と場が和んでコミカルな雰囲気が生まれる。
これは1922年のブロードウェイ舞台を1927年にサイレント映画化した作品の、二度目のトーキー化だ。サイレント版と第一回トーキーはユニバーサル・スリラー映画だったので、怪人にフォーカスが当たった。今回はパラマウント映画のため、少しだけ雰囲気が明るい。

家政婦ルーがクレオール人とは、ルイジアナが元々フランス領だったことから在来フランス系住民と移住して来たアメリカ人の間に生まれた人間ということ。

ポーレット・ゴダードは、チャプリンの妻(事実婚)として有名で、「モダン・タイムス」「殺人狂時代」に出演している。

弁護士の名前がクロスビー氏とは、ボブ・ホープが「珍道中」シリーズで共演しているビル・クロスビーに因んだと思いきや、ジョン・ウィラードの戯曲から変わっていない。

スタッフ

監督  エリオット・ニュージェント
脚本  ウォルター・デレオン、リン・スターリング
音楽  エルンスト・トッチ
撮影  チャールズ・ラング
原作戯曲  ジョン・ウィラード

キャスト(役名)

ボブ・ホープ(俳優ウォーリー・キャンプベル)
ポーレット・ゴダード(ジョイス・ノーマン)
ジョン・ベアール(フレッド・ブライス)
ダグラス・モンゴメリ(チャールズ・ワイルダー)
ゲイル・ソンダガード(家政婦ルー)
エリザベス・パターソン(スーザン叔母さん)
ジョージ・ズッコ(クロスビー弁護士)
ニディア・ウェストマン(シシリー)
ジョン・レイ(病院のガードマン・ヘンドリックス)
ジョージ・リガス(ネイティブ・アメリカンの船頭)

 

***

ウォーリーは室内を調べ直そうとするが、「猫男」に殴られ昏倒する。心配になったジョイスは、ウォーリーを発見して介抱する。頭にタンコブができていることから、誰かに殴られたものと考えられた。このままでは第二の殺人事件が起きてしまう。そこでガードマンのヘンドリクスを呼ぶことになる。再びジョイスとウォーリーが残される。今度はウォーリーは、さっきの隠し扉を奥に向かう。するとジョイスの前の部屋に出てきた。ウォーリーは、ジョイスを呼ぶ。
しかし、ジョイスがウォーリーの声に従って跡を追うが、道に迷ってしまう。それを見つけた「猫男」はジョイスに襲いかかる。それを止めようとしたのは、ヘンドリクスだった。実はヘンドリクスは、「猫男」の仲間だったのだ。しかし、発狂している「猫男」はヘンドリクスを刺殺し、ジョイスを庭にある小屋に連れて行き、殺そうとする。危機一髪のところで、ウォーリーが邪魔をする。
ウォーリーは、隠し扉の通路でチャーリーの着衣とクロスビーの保管していた二枚目の遺書を発見していた。そこには、第二の相続人はチャーリーと書かれてあったのだ。
チャーリーはナイフを投げつけ、ウォーリーの服を壁に突き刺して、殺そうとする。しかし、その跡を追って来たルーが、ライフルでチャーリーを撃ち殺す。
翌日には、警察や新聞記者がやって来て事件は解決した。ルーは長くサイラスの愛人だったので、この地に愛着があって残っていたのだ。ジョイスは、ルーに屋敷の相続権を譲り、ウォーリーとハリウッドで結婚するのだった。

猫とカナリヤ The Cat and The Canary (1939) パラマウント製作・配給 日本未公開サスペンス・コメディ

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