「ジュラシックパーク」の原作者マイケル・クライトンはハーバード大医学部にいるときから執筆活動をしていた。四作目の医療サスペンス「緊急の場合は」(原題 Case of Need、ジェフリー・ハドソン名義)は1969年エドガー賞最優秀長編賞を受賞する。別の筆名を使ったのは医学生の分際で中絶反対を批判すると、医学界での立場が悪くなるためである。
SF小説「アンドロメダ・・・」(ユニバーサル)が映画化された翌年、「緊急の場合は」はMGMにより映画化され、日本でも邦題「殺しのカルテ」として公開予定でポスターも刷られた。しかし大作主義のMGMはアメリカン・ニューシネマの流れに乗れず、配給部門をリストラせざるを得なくなり、ユナイテッド(UA)系列のUIP(旧CIC)に配給を委ねた。UIPはユナイテッド映画を優先して、MGM映画の配給は滞るようになり、ついにこの映画の日本公開はお蔵入りとなった。

 

あらすじ

 

カトリック教徒が多く利用するボストン総合病院にカリフォルニアからケアリー医師(ジェームズ・コバーン)が移籍してきた。スタイリッシュで医師らしくないケアリーは、まるで電撃フリントのように美人栄養士ジョージア(ジェニファー・オニール)を落として、不倫を楽しむ。
そんなとき病院長の娘カレンが失血死する事件が発生し、友人の医師タオがカレンの中絶手術をして失敗したとして警察に逮捕される。友人を案ずるケアリーは警察を信用できず、独自調査を開始する。まず解剖検査してみると、被害者は妊娠ではなく卵巣腫瘍だったことが判明する。タオならこの程度の症状を見落とすわけがない。彼女は何故妊娠していると錯誤したか。犯人は何故被害者に中絶手術を施したのか。

雑感

 

監督はブレイク・エドワーズで、アイルランド出身の名優ダン・オハーリーがラスボス感を醸し出す病院長役を演ずる。
DVDで見る限り、医療ものだから地味だけど、その中であまりに場違いなジェームズ・コバーンが笑えた。
登場してあっという間にジェニファー・オニールと良い仲になってしまい、カトリックでコチコチの院長が彼らを陥れるため盗撮しても、逆にその写真を1m四方のサイズに引き延ばして院長室に飾ってしまう。
さらにラストは車に電話ボックスごと撥ね飛ばされるが、入院しても真相解明のため、体を張って犯人と対決して、自分の脾臓が破裂してしまう。
無茶苦茶だw。
なおボストン総合病院のモデルは、原作者が勤務していたマサチューセッツ総合病院とのこと。

スタッフ・キャスト

 

監督 ブレイウ・エドワーズ
原作 マイケル・クライトン(ジェフリー・ハドソン名義)

脚本 ジェームズ・ボナー
音楽 ロイ・バッド

配役

ケアリー ジェームズ・コバーン
ジョージア ジェニファー・オニール
院長 ダン・オハーリー
アンジェラ スカイ・オーブリー

 

 

殺しのカルテ The Carey Treatment 1972 MGM配給(国内未公開)

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